辺野古への基地建設を巡り翁長知事は、自身の埋め立て承認取り消しを、国土交通大臣が執行停止したことを受け、2日午後、決定を不服として国地方係争処理委員会に申し出ました。
2日午後、県の職員が、国地方係争処理委員会が置かれた総務省を訪ね、国土交通大臣による埋め立て承認取り消しの執行停止の決定を不服として、審査の申し出書を提出しました。
翁長知事は「国地方係争処理委員会に置かれましては、同委員会が設けられた趣旨に則り、中立公正な審査をお願いしたいと思っております」と話します。そして国の一連の対応については、「沖縄県民を愚弄する、あるいは沖縄にしか基地は置かない、こういったものが見えてきて大変残念であります」と話していました。
今後、委員会が90日以内に、国に執行停止をやめるよう勧告するか、逆に、県の申し出を却下するなどの判断をすることになり、県はその決定に不服がある場合、さらに高等裁判所に提訴できます。
また、県は2日午後、一方的に打ち切られた格好となっている本体工事の事前協議についても、沖縄防衛局に対し、留意事項に反するとして行政指導する文書を提出。法廷での闘争を前に、国と県の手続きの応酬が加速しています。
中川:今後の手続きはどう進むのでしょうか、草柳記者です。
草柳:きょう県は、承認取り消しの効力を止めたことに対する不服審査を、「国地方係争処理委員会」という第三者機関に申し出ました。
5人の有識者で構成されていて、申し出から90日以内に結論を出さなければなりません。県の言い分が認められれば、承認取り消しの効力が復活し、認められなければ、高等裁判所に訴訟を起こすことができます。
ただ、今回承認取り消しの効力を止めた決めた国交大臣の行為は、係争処理委員会への申し出はできないという解釈もありまして、その場合は、県の申し出自体が門前払いされることもありえます。
中川:もう一つ手続きがありましたよね?
草柳:国が翁長知事の権限を取り上げてしまう、「代執行」です。こちらは今、「承認取り消しを取り消しなさい」という、「是正勧告」が出されています。このあと、「是正指示」が出されますが、知事はいずれにも従うことはありませんので、早ければ今月中旬以降、国が高等裁判所に提訴するができます。
この代執行について、専門家はこういう見方をしています。
本田博利・愛媛大学元教授「代執行により、裁判所が、知事が行った埋め立ての取り消しについてジャッジする、判断する、司法が判断を下すというこの方法は、フェアなやり方であり、県が求めてきているものでありますから」
中川:しっかりと司法判断を受けた方が良いということですね?
草柳:そうですね。提訴後15日以内に口頭弁論が開かれますので、早ければ来月初旬に、いよいよ法廷闘争に突入することになりそうです。