昨夜、大宜味村の海岸で、事故で死んだアオウミガメの卵を人工でふ化させ、人の手で海へ還そうという試みがありました。
ことし8月、大宜味村喜如嘉の国道で、産卵の為に陸に上がっていたアオウミガメが交通事故に遭い、死んでいるのが発見されました。
悲しい事故でしたが、小さな奇跡を起こそうと、カメを引き取った沖縄ら島財団では母ガメの体内から卵を取りだし、世界で例がないという人工ふ化に挑むことに。
取り出した80個の卵をふ卵器に入れることおよそ2カ月、今月10日からふ化が始まりました。これまでに20匹のふ化に成功。今回は、このうちの10匹を海に還すことになったのです。
旅立つ子ガメたちを見送ろうと、噂を聞きつけた多くの人たちが見送りに来ました。子ども達も、小さな子ガメたちに興味津津です。
沖縄ら島財団・河津勲係長「やっぱりここで産まれるはずだったんですね。不幸にもこういうことが起きてしまって。もともと産まれるはずだった海に放流しようよ。そのまま再現しようというのが今回(の目的です)」
そして、午後8時すぎ…
カメには、光に集まる習性があることからライトは禁止。子ガメたちが、迷わずに海へと迎えるよう、少しの光も出さないよう配慮した上で放流が行われました。
地域の人たちが見守る中、子ガメたちは大海原へと旅立って行きます。
「元気にね、元気に帰っていきました」
沖縄美ら島財団・河津勲係長「この2カ月間見続けてきたので、ちょっと安堵しております。本来であれば、自然で生まれて海行くはずだった個体たちなんで、そういうことにならないように努力していくべきだと」
母ウミガメの事故の後、海岸から国道へと続く入口には、ウミガメが迷い込んでいかないよう、土のうが積まれるようになりました。
大海原へ旅立った10匹の子ガメたち。母ウミガメの分までたくましく成長してほしいものです。