10月14日、知事の埋め立て承認取り消しに対し、さっそく国が動きました。
14日午前11時半過ぎ、国土交通省を訪れたのは沖縄防衛局の担当者です。翁長知事の承認取り消しを不服として、無効を求める審査請求と、取り消しの効力を一時停止する申し立ての書類を提出しました。これを受け、国土交通省は、沖縄県に対し、審査請求に対する弁明書を11月16日までに提出するよう求めました。
審査には1カ月以上かかる見通しです。また、防衛省は、取り消しの一時停止の申し立てが認められれば、早ければ10月末にも着工する考えです。
ここからは取材にあたっている野島記者に聞きます。
Q:きのう知事が埋め立て承認を取り消して、すぐさまのきょうの防衛局側の動きですが、県の反応はいかがでしょうか?
はい、県としても想定済みということで、申し立ての直後に、知事はコメントを出しました。このなかで翁長知事は、まず国の申し立て自体が、根拠とする法律の趣旨に反していて国民の理解は得られないと指摘。また、同じ内閣で「辺野古が唯一」とする考えの国土交通大臣に、審査を求めることは、「悪しき前例」になると指摘しています。
Q:想定済みということですが、今後は?
はい、こちらの表をご覧ください。
きのう取り消しで、きょうは次の流れとも言える「申し立て」となりました。今後、国土交通大臣は、申し立てに対する県の反論を聞いたうえで、執行停止を決めることになります。これには、1週間から2週間ほどかかるとみられています。
Q:仮に、執行停止が決まるとすぐに、国は工事に取り掛かることが出来るのですか?
いえ、知事の取り消しの効力が止められたとしても、国はすぐには工事を始めることは、実は出来ません。なぜなら、仲井眞前知事が埋め立てを承認した際に、環境保全策などを国と県で事前協議する、という条件をつけているためです。
この事前協議は書類でやり取りされていますが、実はまだ終わっていません。この事前協議が終わらないまま翁長知事が、そもそもの承認を取り消しました。仮に今回、取り消しの執行停止が決まったとしても、もう一度、事前協議を再開させることで実質、本体工事には取り掛かれず、止めることができると県は考えています。
ところが、きのう県が、「埋め立て承認を取り消したので、この事前協議も出来ない」ということを文書で通知したところ、国は、その県の言葉尻を捉えるようなかたちで、「では、事前協議は打ち切る」と宣言するのではないか、という話が出てきています。
承認の前提となる事前協議を、一方的な解釈で終わらせるようなことになれば、政府が、普段繰り返す「法治国家」という言葉とは矛盾するように感じますし、県民の反発が強まるのは必至です。