翁長知事が出席する国連人権理事会。各国の人権状況を審査し、重大な人権侵害に対しては勧告を出します。
島ぐるみ会議の国連部会長で、琉球大学教育学部の島袋純教授は次のように国連で訴える意義を語ります。
琉球大学教育学部・島袋純教授「日米両政府が基地を造って押し付けようとしている。そういうことが国際社会に世論を喚起して、そこから圧力をかけようという狙いがあります」
島袋教授は辺野古への基地建設反対の根拠として、沖縄の人々が土地や海、資源に関して決定できる「自己決定権」を主張しています。そしてその背景に、沖縄がかつて琉球王国として独自の道を歩んでいたことをあげています。
島袋教授「1879年以前は琉球王国を持っていたので、客観的条件としてわかりやすい。我々は少数民族、先住民族であると言う自己規定です。国連演説に関しては、自己決定権を持つ集団と言う自己規定をされるのが一番のポイントになるんじゃないかと思います」
昼夜に関係なく騒音をとどろかせながら飛ぶ戦闘機やオスプレイ。基地から派生する環境汚染や次々に起こるアメリカ軍人による事件や事故。
こんな状況が続いてもアメリカ軍基地がなくならない背景には、日本国憲法も、一般法からも適用除外された特別法の存在があるのだと島袋教授は指摘しています。
島袋教授「土地収用法の特別法とか、アメリカ軍が夜間であれ、何であれ、オスプレイであれ、いつも好きなように飛ばせる。そういうのは航空特別法によって保護されている。そういった様々な差別的な立法によって沖縄の権利を侵害し続けている。この部分を強く訴えたくて」
沖縄のことを国際社会がどう見ているか、注目すべき報告書が出されていました。
国連特別報告者のドゥドゥ・ディエン氏の報告書。沖縄の基地問題については次のようにあげています。
『沖縄にアメリカ軍基地が存在し続けることは、沖縄の人々の基本的人権の尊重と両立しうるのかという問題について、綿密な調査を行うよう要請すべきである』
島袋教授「平和を守り、人権を守ることは密接にかかわっていると思います。」
国連の人種差別撤廃委員会は2010年、沖縄へのアメリカ軍基地の集中について現代的な形の人種差別と認定。また2014年8月には沖縄の人々は「先住民族」だとしてその権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表しました。
翁長知事「沖縄のあるべき姿、日本のあるべき姿、この問題を通じて国民に問いたい、世界に問いたい」
そもそも沖縄の軍用地のほとんどが戦後強制的に接収された土地。島袋教授は沖縄の人たちの合意なしに基地が造られ今もあり続けていることを国際社会に訴えていく重要性を示しています。
島袋教授「好き好んで土地を差し出したことはないというのが、重要なポイント。これこそまさしく人権侵害」