7月16日に衆議院を強行採決で通過した安全保障関連法案。政治学の専門家は、「政府の弱さの表れ」と指摘しました。
7月27日、参議院での審議をスタートさせた集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ安全保障関連法案。28日、参議院の特別委員会で安倍総理は、国際情勢の変化を強調したうえで、法案の必要性を繰り返し訴えました。
きょうの閣議後の会見で中谷防衛大臣は「この(参議院での)審議を通じて国民に理解をされ、そして野党にも賛同いただけるように丁寧に説明に努めてまいりたい」と答えました。
しかし、こういった衆議院での採決を含む政府の強行な姿勢に専門家は警鐘を鳴らしています。法政大学・政治学・山口二郎教授はインタビューで「強行採決というのは、やっぱり今の政府与党の弱さ、自信のなさの表れだと言わなければならない。一応審議時間は、委員会で100時間超えたというものの、中身を見ていると質問に答えていない。もうこれ以上議論しても、ぼろが出るばかりだからということで、言わば逃げるように強行採決したわけです」と話しました。
QABの取材に応じたのは法政大学の山口二郎教授。先月の衆議院特別委員会の中央公聴会で、公述人として呼ばれ違憲性を指摘しています。山口教授は「辺野古における政府の非常に強硬な建設の推進と、安保法制の強行採決と、これは全く同じ政府の弱さの表れだと私は思いますね。説明することが出来ないから力づくで押し切るということ。世論の力に政府が結局負けてしまうというか。そういう状況が起こり得ると思います」と述べました。
国内での反対や疑問の声の高まりは、今後無視できなくなると見通しています。続けて教授は「8月は、終戦の日、原爆の日、戦争に関連する色んな行事があり、国民全体が戦争と平和の問題について、考える機会がたくさんありますから、この法案に対する国民的な疑問、あるいは批判がますます大きくなることは間違いないと思います」としました。
県内でも、7月15日と17日に安保法制に抗議するデモが行われたほか、7月31日には、県庁前の県民ひろばで、抗議の県民集会が開かれることになっていて、実行委員会では、若者や子育て世代の積極的な参加を呼びかけています。