検証を始めて5カ月余り。結果報告が出ました。前の知事が行った辺野古の埋め立て承認を検証していた第三者委員会は、16日、4つの瑕疵を指摘する報告書を翁長知事に提出しました。
第三者委員会の大城浩委員長は県庁に翁長知事を訪ね、埋立て承認の過程を検証した報告書を知事に提出しました。
報告書では、埋め立てにより得られる利益と不利益とを比較すると、埋め立ては合理的とは言えないなど、前の知事の埋立て承認には4つの瑕疵があると指摘しています。
翁長知事は「内容についてしっかりと精査したうえで、今後埋め立て承認の取消しも含めて、どのように対応することが効果的なのか、慎重に検討していきたいと考えております」と話します。
また検証委員会の判断を最大限尊重すると述べたほか、辺野古での工事の進み具合も判断材料にしながら、承認取り消しを判断していくとの考えを示しました。
稲嶺名護市長は「やっぱりと。(報告は)想定をしていた内容。(承認の)取り消し、あるいは撤回を県民は望んでいる」と話します。
座り込みをする男性は「承認撤回そういう鮮明な態度を一刻も早く表明して頂きたい」と話し、座り込みをする女性は「私たち市民も県民も瑕疵があると思っている。環境破壊は必ずされるので、それは絶対に許されません」と話しました。
報告書の全文はまだ明らかにされていませんが、県は内容を精査したのちに議事録も含めて公開することにしています。
取材した久田記者に聞きます。法的瑕疵があるとの内容で報告をまとめていることはこれまでにもお伝えしてきていますが、どんな瑕疵があると報告されたのでしょうか。
久田記者「第三者委員会は政治的な判断の是非ではなく、法的な手続き上、どんな瑕疵、あやまりがあったのかを審査していたのですが、今回上がった4つの瑕疵について説明していきます」
久田記者「まずはこちら、埋立てて基地ができる利益より不利益のほうが大きいという点。ずさんな環境アセスの手続きに基づいた判断であったという点。また、生物多様性の保護に関する国の計画も十分考慮されていなかったのではないかという点。そして、そもそも論ですが『普天間基地を移設する必要性』と『辺野古を埋め立てる必要性』を直接結びつけた審査の在り方もおかしいとして、埋立ての必要性があったとまで言えなかった、これも法的な瑕疵である、と結論づけています」
政府は埋立て承認に瑕疵はない、という主張をこれまで繰り返していますけれども、どういう対抗策に出てくるのでしょうか。
久田記者「今後、知事が取消しを判断した場合には、基地建設を行う沖縄防衛局に対し、聴聞という聞き取り制度を経て、取消しを行うことになります」
久田記者「その後の局面では、国には2つの対抗策が考えられます。まずは、承認取り消しという行政処分に対する不服を申し立てる、という方法です。もうひとつは、行政代執行訴訟という可能性です。埋立てに関する法律を所管する国土交通大臣が『埋立て承認取り消しの判断を取り消せ』つまり、前の知事が承認した状態に戻せという指示をして、それに翁長知事が従わなかった場合に、高等裁判所に翁長知事を訴えるということです」
久田記者「いずれにしても国との全面対決ということに変わりはなく、承認取消しは来月にも決断されれば、辺野古を巡る国との関係がこれまでで最も緊迫する局面を迎えると言えそうです」