Qプラスリポートです。
グリーフブック。以前、家族を亡くしたこどもの視点で悲しみと向き合う姿をお伝えしました。こちらは、その第2弾でタイトルは「おかえりなさい」亡くなった子どもを思い続けることでその子が帰ってくるという思いが込められています。きょうは、この本に登場する仲間さん夫婦の悲しみの向き合い方について考えます。
先月、グリーフブック「おかえりなさい」が出版されました。この本には、ある夫婦の悲しみと向き合う姿が綴られています。仲間さん夫婦です。
母友子さん「診察室から別の部屋へ連れて行ってくれて、そこで声をあげて泣いたのは覚えています。」
父弘孝さん「唯ありがとうね。大丈夫だよ、これからも一緒だからねと伝えた。唯は眠るように旅立ちました。」
レモングラスの香りが漂う仲間さんのお宅。香りの先から楽しそうな女の子の声が、聞こえてきます。2年前に「びまん性脳幹グリオーマ」という病気で亡くなった仲間唯さん(8)の声です。ここは父親の弘孝さんが、唯さんの生きた証を残したいと作ったスペース。「唯の間」です。
母:仲間友子さん「下はランドセルとか唯のちっちゃい時のお守りだったりとか皆唯が使っていたやつですね」
唯さんの思い出が詰まった「唯の間」友子さんは当初、唯さんが亡くなった事実を受け入れられず、この場所を避けていたといいます。
母仲間友子さん「なんで唯なのかなとか何で自分の子がとか、何がいけなかったのかなとかずっとそればっかり考えてて。最初は見られなかった部分もあるんですけど」
唯はいつか帰ってくる。そんな気持ちで思い出すら避けていた友子さん。しかし、この気持ちを変えたのは夫・弘孝さんの言葉でした。
仲間友子さん「お父さんが、思い出の場所に行くことで唯も喜ぶし。一緒に行った方が振り返ることもできるし、当時の気持ちにもなったりとか、きつくなる部分もあるんですけど、それも大事な思い出なので」
この場所は、2年前に4人で出かけた最後の場所です。弘孝さんは、この先も、家族4人の新たな思い出を刻んでいきたいという思いがありました。
仲間弘孝さん「今実際唯に触れることはできないっていう現実は深く受け止めているんですけど。今までと変わらない生活をすることは今も唯と一緒に過ごしているっていう、私たちの家族の証というか、それでいつも写真を持って歩いて(います)。」
姿は見えなくても、生前と変わらず、唯ちゃんにも自分たちが見る光景を見せてあげたい。弟・こうた君も浜で見つけたやどかりをお姉ちゃんに見せていました。
こうた君「笑っているふふふふ。」
父、こうたくん「父:ねえねえはどこにいるんだった?弟:自分の心の中。」
仲間さん家族の心の中で唯さんは生き続けています。
この日、仲間さん一家に、仕上がったグリーフブックが届けられました。
父「共感する所が多々ありますね。」
友子さんは、今回グリーフブックに協力することで、気持ちの整理ができたと話します。
仲間友子さん「つらい時はつらい、苦しい時は苦しいで、それを受け入れてくれるひとがいてくれたら一番いいのかなって」
今は思い出がたくさんあることに助けられている。そう話す仲間さん家族の、これが悲しみとの向き合い方なのです。
仲間さんケースは1つのケース。家族ごとに悲しみの向き合い方はそれぞれ。悲しみを受け入れるスピード、死の受け入れ方も人それぞれでいいとグリーフブックを作った福嶺さんは話していました。
仲間さんご夫婦は、また同じ境遇の人に、不安や孤独などが急に押し寄せてきたりと波があるけど、いっしょに過ごせた幸せを考えてほしいと話します。