また一歩、法案成立に近づいたという事でしょうか。安保関連法案を審議する衆議院の特別委員会が6日那覇市内で参考人質疑を行いました。こちらが、参考人として意見を述べた5人です。どんな質疑が交わされたのでしょうか。
大田昌秀元県知事は「自衛隊を配備すれば、島嶼を守れるということをよく言われますけれども、沖縄戦の教訓は、(戦時中の)軍隊は民間人、非戦闘員の命を守らないということが沖縄戦の唯一の教訓なんですよ」と話します。
アメリカなど、密接な関係にある同盟国が武力攻撃を受けた場合、日本が直接武力攻撃されていなくても、同盟国を守ることで日本を守るという、集団的自衛権。
最年長の参考人、大田元知事は、この集団的自衛権を認める関連法案が成立すれば、他国のための戦争に日本が関わり、かえって民間人の命が脅かされると、強く指摘しました。
与党推薦の参考人として出席した参考人も諸手をあげての賛成とはなりませんでした。南城市の古謝景春市長は「拡大解釈され、また戦争という事に巻き込まれてしまうと、大変な事態が起こります。しっかり、厳正なるマニュアル化をして、限定的なものにまとめていただけますよう、国会でご議論をして頂きたいと思っています」と話します。
中山義隆石垣市長は「私が市長の権限として市民の安心・安全、生命と財産を守るのは消防力までしか対応できない。それ以外の部分というのは、もちろん海上保安庁とか、それよりもっと外であると自衛隊などに守ってもらうので、国防、安全保障という意味においてはしっかりと対応して頂きたいと思います。」
古謝景春南城市長は、平和憲法を順守すべきとしつつ、日本の防衛と直接関係のない集団的自衛権の行使は、これまで通りできないのであれば、法案に賛成できると表明。
政府には、集団的自衛権行使には厳格な歯止めがあるとの姿勢を貫いてほしいと述べました。また、中山義隆石垣市長は、尖閣諸島への中国公船の領海侵犯や、八重山近海での海軍の活動の活発化などを強調。国防や安全保障は国の専権事項であり、成立させてほしいとしました。
一方、議論の進め方そのものに異を唱えた、稲嶺名護市長は「今回の関連法案の進め方と辺野古の問題はどこか根が共通している。寄り添うと言いながら説明がなく、言ってることとやってることの整合性がない、ただ権力を振りかざすことが目立っている」。
また琉球新報社の前社長、高嶺朝一さんは、法案は地理的な制約を超えてアメリカ側の要請にこたえるものだと、反対を訴えました。
特別委員会の浜田靖一委員長は、安保の過重負担を担う沖縄で参考人質疑を行った意義を強調しましたが、6日の参考人質疑は、来週の本会議採決を前に駆け込みで行われた印象は否めません。
傍聴した大学生は「安保法制の具体的な法律の文言にふれていなかったので、それに基づかずに、こういう状況だから反対、賛成という議論をしても、あまり具体性がなかった」と言います。
琉球大学の我部政明教授は「敵が手を出さないのに、撃ちそうだから撃ったという話が今、自由に言っていること。それはおかしいことではあるんだよね、そもそもが」と話します。
与党は、その他の手続きを次々に進め、16日にも衆議院を通過させたい考えです。沖縄から伝えられた声が法案に反映されるまでに残された時間は、あまりにも少ないと言えます。