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沖縄戦から70年のことし。県内の学校で行われいる平和教育は、子どもたちにどのように伝わり、どう理解されているのか、実態を把握しようと県内の高校生を対象にアンケートが実施されました。

「沖縄戦について学ぶことをどう思うか」という質問に対して「とても大切」または「大切」と答えたのは、全体のおよそ94%にものぼりました。

一方で、アンケートの結果からは、平和教育の課題も浮き彫りになりました。

教師「以前は戦争経験者の先生方も周りにいたので、そういう部分においては、教える側がちょっともう少し頑張らないといけないと言う気がします」

教師「離島から来ているんですが、基地がないところなので、中部の状況を話しても生徒がピンと来ない状況があるんですよ」

先週、那覇市で開かれた平和学習に関する教師らの勉強会。沖縄歴史教育研究会と教職員組合が合同で行った、アンケート結果が公表されました。

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その中で、「ことしは戦後何年目か?」という質問について、5年前は7割以上の生徒が正しく回答しましたが、ことしは、正解者が5割程度にとどまりました。

沖縄大学・新城俊昭客員教授「まあ、沖縄戦は歴史になりつつあるのかなという感じですね。」

そして、今回注目されたのは、戦後史に対する質問でした。沖縄の本土復帰の日を1972年5月15日と正しく答えられた高校生は、全体のわずか1割しかいなかったのです。

沖縄大学・新城俊昭客員教授「戦後の歴史がしっかりと教えられていない。ましてや、復帰運動が教えられていない。ということは、なぜ沖縄に基地があるのかという根源的な問題が分かっていないということに繋がるのではないか。」

その言葉を反映するように、「普天間基地の移設場所についてどう思うか」という質問では、県知事を筆頭に、県民の多くが新基地建設反対の立場の中、回答で「国外・県外」を選んだのは、前回よりも12%低い、およそ35%でした。

新城教授は、この回答から、「基地との共存」に違和感を抱かない世代が増えていると同時に、子どもたちを取り巻くインターネット社会のあふれる情報の中で、間違った認識が刷り込まれていることが考えられると指摘します。

沖縄大学・新城俊昭客員教授「だから、私たちが平和教育で力を付けていくのは何かと言ったら、情報を収集、分析して、それを判断する力。それを自分の意見、考えとしてきちんと述べられる生徒を育てていく必要がある気がしています。」