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ワシントン在住記者に聞く 基地問題 アメリカから見る視点

平安名純代さん「アメリカ側としましては、辺野古の新基地建設の問題にしては、埋め立て承認が最大のカギ、難関だと位置づけていました。なので仲井眞知事が承認したときに、これで最大の難関を突破したと、そういう見方をしていて、あの時に普天間問題は解決したという捉え方が出てきました。」

こう話すのは、ワシントンを拠点に、アメリカ政府や議会の情勢を取材している沖縄タイムスの特約記者・平安名純代さん。辺野古への基地建設が待ったなしとなる中、私たちはインターネットで平安名さんにインタビューを試みました。去年11月、辺野古への基地建設が争点となる選挙で辺野古反対を掲げ、圧勝した翁長知事。その登場にアメリカ政府も注目していたと言いますが、就任後5カ月経ってその評価は冷やかなものに変わっているようです。

ワシントン在住記者に聞く 基地問題 アメリカから見る視点

平安名さん「翁長さんが立候補したときに、かなりの注目を集めていました。カリスマ性もあり、求心力がある。そういった意味で沖縄に新しい波が生まれつつある。特に経済界がバックについて、そうした新しい形、構図と言うのが、驚きを持って受け止められていました。」

平安名さん「それに対して、当選後、翁長氏はあのペースで動くだろうという期待感、予感があったものの、就任してから動きが無い、岩礁破砕取り消しに関しても取り消しには動いていない、そういうこともこれまでの行動が疑問視されている。」

夏にも辺野古では本体工事が始まろうと言う中、平安名さんはこの局面で重要なのは「民意」だと話します。実は平安名さんがこう語る背景にはあの事件がありました。1995年に起きたアメリカ兵による暴行事件に抗議する県民大会。海外のメディアも大勢沖縄を訪れていましたが、彼らが取材した沖縄の基地の現状や県民感情が、アメリカ政府や議会にも大きな衝撃を与えたというのです。

ワシントン在住記者に聞く 基地問題 アメリカから見る視点

平安名さん「あの時に、民意の凄さを初めて知ったと。その話をされる方がとても多いと。アメリカで米軍基地と言うと、(一般の)住宅地、基地、ちゃんと間隔がとられていて、スペースが確保されているわけなんですよ。それで沖縄に行くと、基地の中に住民が住んでいると、まずそれを驚くんです。」

平安名さん「その中で沖縄が反対しているというその面を伝える、なぜ反対しているのか、そういった視点から発信された情報が、沖縄の民意を正確にこちらに伝えていたと思います。」

翁長知事は5月にもアメリカを訪れる予定ですが、平安名さんは逆に沖縄に海外のメディアを呼び込む工夫も必要ではないかと指摘します。

平安名さん「それよりも今辺野古で新しい基地が造られようとしている状況を、沖縄にみんなを集めて、ワシントンを沖縄に引き寄せて沖縄の現状を沖縄から発信すると言う、そちらの方が民意を伝えられる上で大きなインパクトになりえるのではないかと思います。」

また私たち県民に何ができるのかという問いに対しては、長年アメリカ社会を見てきた平安名さんらしいこんなアイディアを示してくれました。

ワシントン在住記者に聞く 基地問題 アメリカから見る視点

平安名さん「簡単にできるのは手紙を書くことだと思います。一番インパクトがあるのはアメリカの上院軍事委員会の委員長、マケインですね。マケイン氏はかつてレビン氏とウェブ氏と一緒に、辺野古見直し嘉手納統合案を打ち出していたわけですが、埋め立て承認前から辺野古容認の立場に転じました。」

平安名さん「マケインに対して、辺野古見直しという立場をもう一度貫き通してくれと、そういう手紙を書くのも一つの手だと思います。」

遠くアメリカから沖縄の基地問題を取材し続けてきた平安名さん。アメリカという強大な国を動かし、基地問題を解決させるためには、何が何でも辺野古に基地は造らせないという強い地元の民意を言い続けていくことだと話します。

平安名さん「アメリカの政府、議会というものは、民意を重視していて、一市民から来た手紙も必ず返事は書くと、どんな返事かと言う内容によりますが、そういう姿勢があるわけです。翁長さんに投票した36万が一気に書簡を送ったとすると、マケインがどう動くか注目したいところです。」