今月、開所30周年を迎えるJICA沖縄の特集をお送りしています。きょうは、那覇市のごみ減量のノウハウを伝える男性の活躍をお伝えします。
今年1月。那覇市役所を訪れた、ベトナムの民族衣装「アオザイ」姿の女性たち。彼らは、ベトナム・ホイアン市の廃棄物問題を担当する職員です。増え続けるごみをどう減らしていくのか。実際にごみ減量に成功した那覇市のモデルを学びに来たのです。
かつて、深刻なごみ問題を抱えていた那覇市。ごみ袋の有料化や環境教育などを推進して、13年間でおよそ25%減量することに成功しました。
ホイアン市からの研修員に講義を行っているのは、沖縄リサイクル運動市民の会で代表を務める古我知浩さんです。長年、市民団体の立場からごみの減量に取り組んできました。
この日は、那覇市で出された家庭ごみの中身を開いて、ルールが守られているか、そしてどんなごみがどのくらい捨てられているのかを調べるごみの組成調査を行います。
生ごみ、紙ごみ、プラスチック、おむつなど、開封したごみ袋の中身を種類ごとに手作業で分類していきます。そして計量。今回、最も多かったのは食べかすなどの生ごみで36.8%。次いで、紙ごみ、プラスチックなどでした。また資源ごみとして出すべき新聞紙など、ルール違反のごみが全体の7.2%を占めていました。
バンさん「きょう組成調査を体験して、日本では非常に分別が良くできていると思いました。今日は燃やすごみでしたが、分別率は良かったと思います」
古我知さん「基本的なデータを取っていくことから始めましょうということで、ごみのこういう風な組成を見たり、量を測ったりということをやったりしています、まずここが基本かなと」
1999年に世界遺産に登録された、ベトナム中部の古都・ホイアン。人口12万人、古い街並みが多くの観光客を迎え入れます。古我知さんはこの街で、7年前から、JICAの草の根技術協力事業として、ごみの減量に取り組んできました。まず古我知さんが向かったのは、ホイアン市の最終処分場です。車を降りると強烈な臭いに襲われました。
草柳記者「ここは処分場であって、焼却場ではありません。しかしあちらこちらから火と煙が上がって辺りは白く霞んでいます」
古我知さん「やっぱり地域の住民ですとか、自然とかにどうしても好ましくない影響が出てくるんで、もうちょっとバランスを取りながら成長出来たらなぁと、その手助けになればなと思ってるんですけど」
2008年に1日45トンだったホイアン市のごみ排出量は、3年後の2011年には66トンまで増えたとされています。処分場はすでに満杯で、この街にとって、ごみ減量が喫緊の課題である現実を見せつけられました。
日本で教えた「ごみ組成調査」。この日、自分たちだけで挑戦しているということで、古我知さんが見学に行きました。
「今いくつに分けてますか?18種類」「やってみて、分からないこととかなんかありますか?通訳:最初18種類、種類がたくさんあって覚えられなかったけど徐々に慣れてきて早くできそうです)じゃあもうこれからもっとやっていけばデータとるのも楽ですね」
初めて彼らだけで行った組成調査。どうやら合格だったようです。
古我知さん「意識が変わっていくというか、変化していくのが見えてきていたもんですから、私自身も感動」
JICA・沖縄国際センター誕生から30年。沖縄で生まれた 「万国津梁」の精神は、国際協力という形で、今も受け継がれ続けています。