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知事「指示は正当」と意見書提出

翁長知事は「辺野古移設を唯一の解決策だと決めつけて、普天間飛行場の負担の大きさを執行停止の理由として述べることは悲しいことでありますが、県民の痛みを感じない、感じようとしない政府の姿勢があることを本土の皆様に知っていただきたい」と国の対応を厳しく批判しました。

翁長知事が3月30日までに辺野古の海上作業を停止するよう指示したことに対し、沖縄防衛局が執行停止の申し立てをしていることを受けて県は、沖縄防衛局の申し立ては不適法であって却下されるべきであるという意見書を出しました。そして「このような意見をもって沖縄防衛局の申し立ては不適法であって却下されるべきであり」と述べました。

翁長知事は3月23日、防衛局が県が許可した水域の外にコンクリートブロックを投入し、サンゴを破壊した可能性が高いとして県の調査が終わるまで、海上での作業を30日までに全て止めるよう指示し、これに従わない場合は、岩礁破砕許可を取り消すことがあるとしました。これを受けて沖縄防衛局は24日、知事の指示を不服とする審査請求を行い、執行停止を求めていました。

翁長知事は意見書で、「申し立て制度は国民に対して行政庁に対する不服申し立ての道を開くことを目的にしていて、国が不服申し立てをすることは予定されていない。防衛局は申請人としての性質を持たない」などと指摘しました。そして、沖縄防衛局が必要な許可の申請や協議を行ってこなかったとして、執行停止の申し立てが不適法であり、却下されるべきと結論付けています。

【野島記者による解説】

きょうの会見で翁長知事は、この制度は、そもそも国が国に申し立てることを想定していなので、申し立てそのものが成立しないと主張しています。仮に成立したとしても、全部で8つの項目を立てて反論しています。

例えば、45トンものコンクリート構造物が設置されるのは決して軽微なものではないこと。また、この設置は当初から計画されていたことではないことなどを指摘。

辺野古移設を「唯一の解決策」と決めつけて普天間基地の負担を執行停止の理由とすることは、沖縄県民の痛みを感じようとしない政府の姿勢が出ていると痛烈に批判しています。

(Q.今後の流れはどうなるのでしょうか?)

はい。まず一連の流れですが、翁長知事が今月23日に沖縄防衛局に対し、辺野古沖の作業停止を指示しました。これに対して、沖縄防衛局は知事の指示が権限乱用だなどとして「審査請求」と、この結果が出るまで指示を差し止めるための「執行停止」を農林水産省に求めました。

きょう県が提出した意見書は執行停止申し立てに対して出したもので、これを受けて、林農水大臣が作業停止を執行させるか、それとも執行させないか決めます。ただ農水省は、今回外部の識者などに意見を求めることはしないということで、かなり早く決定が出されるのではないかとみられています。

一方、今後注目されるのが、もう一つの「審査請求」です。

県は、30日以内、来月23日までに弁明書を出すよう求められていて、今度はこれを受けて、防衛局が反論書を書くなど文書のやり取りが続きます。そして最終的に審査して、農水大臣が、県の指示を取り消すか、防衛局の請求を棄却するかを判断します。

いずれにしても、辺野古の工事が進む中で何としても待ったをかけたい県と、工事を進める国との対立の構図は明確になっています。