草柳:ここからは石橋記者に聞きます。石橋さん、この裁判は、辺野古埋め立て反対を訴えて700人近くの人が原告団に入っている注目の高い裁判ですよね。
石橋:はい、この裁判は、原告らが埋め立て承認をした県を相手に起こしたものです。今回のポイントは、埋め立てを承認した仲井眞前知事から、その承認の取り消しや撤回を視野に選挙に臨んで、10万票の大差で当選した翁長さんに知事がかわったことです。県のスタンスが、この裁判の間に大きく変わったということです。
草柳:選挙の結果でいくと県の主張は仲井真さんの時とは、まるっきり反対という事になりますが、きょうの裁判で、県はどのように主張したのでしょうか?
石橋:はい、県は明確な態度を示さず、待ってほしいというものでした。
草柳:承認について、取り消しや撤回とは言わなかったんですね。
石橋:はい、そうなんです。実は、県がこのように話している背景には、先月、立ち上げた検証委員会の存在があります。翁長知事は検証委員会のメンバーに公正な判断を求めていて、結果が出るまで、取り消しや撤回といったスタンスを明確にできないわけです。ですので、裁判でも、スタンスを明確にできない状況ということなんです。もし、裁判で言ってしまうと、検証委員会が結果ありきで議論することになってしまいます。ですから今回は、態度を保留するという形になったとみられます。
草柳:もう1つ特徴がありますよね。
石橋:そうですね。元々この裁判は、反倒する市民・県民が県を訴えたものですよね。ところが、先月、国が裁判に参加を求め、それが認められました。国は何としてでも移設計画を進めたい考えです。去年の知事選のあと、反対を掲げる翁長知事になったことで、計画や裁判に影響が出るのではと危機感を持ち、独自に主張できるよう手を打った形です。異例の事態と言えます。
草柳:この後はどうなっていくのでしょうか?
石橋:国は裁判や検証委員会が、まだ議論の途中にある中で海での作業を進め、夏には、本体工事に入る見通しです。県民から、早くしないと間に合わないという声が日増しに高まっていて、県の検証委員会とともに、この裁判の行方も非常に注目されます。