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来年春に返還される西普天間住宅地区をはじめ、時間はかかりますが、県内のアメリカ軍基地の一部は、今、返還過程にあります。実はアメリカ国内でも、基地跡地をどう活用するかというのは大きな課題でもあります。草柳キャスターが取材しました。

草柳キャスター「はい、私は先月、アメリカに行ってきました。目的は、アメリカの米軍基地の跡地利用がどのようになっているかを確認するためです。2つの街の現状をご覧ください。」

アメリカ・フロリダ州、ジャクソンビル。退役軍人が多く暮らす街として知られています。その郊外にあるのが、20年前に閉鎖された海軍飛行場の跡地に作られた、セシル商業施設です。物流センターとしての役割のほかに、基地の滑走路を転用した事業が行われています。

草柳キャスター「こちらがセシルフィールド飛行場、現在は沿岸警備隊が格納庫として使用しています。このヘリコプターで麻薬密輸の取り締まりなどを行っているそうです」

沿岸警備隊のほかにも、広大な土地と施設を再利用して、パイロットや管制官の養成学校なども入居しています。

女子学生「今は翼の部品の取り付け作業をしていますが、私たちがここで専門に学んでいるのは機体の塗装についてです」

そしてわずか4人で始めたという旅客機の整備会社。現在は1000人以上の従業員を抱えています。

整備会社「主要な取引先はデルタ・サウスウエスト・フェデラルエクスプレスですが、小さな航空会社の機体もたくさん整備しています。ここの利点は、自由に飛行できることなんです。商業空港ではないので、待たされることもありません。いつでも必要な時に待たずに離着陸できるんです」

しかし、返還の過程では問題も発生しました。環境汚染です。変圧器の保管場所や土壌の一部からPCBなどが見つかったのです。解決策は、住民も参加する委員会で話し合い、汚染箇所を使用せず、自然に毒が弱まるのを待つことになりました。

責任者「我々は過去の経験から、地域社会と共に返還を進めることが重要だと考えていました。空港で何をしているのか、何が起きているのか、常に知らせるように(情報共有)していました」

カリフォルニア州・サンディエゴ。映画「トップガン」の撮影も行われた海軍の街です。97年に閉鎖された海軍トレーニングセンターの跡地が、オフィス、住宅、ゴルフ場、ホテルなどが立ち並ぶ新たな街に生まれ変わりました。しかしここでも、同じ問題が生じました。

草柳キャスター「かつてこの辺りには工場があったそうです。そのため汚染物質が流れ出てこちらの運河が汚染されている可能性があります。このためまだ市には返還されていません」

汚染除去に要した費用は800万ドル。日本国内の基地とは異なり、連邦政府に原状回復義務があるため、すべて国の負担で処理されました。規模も手法も全く異なる基地の返還事例ですが、担当者の口からは、同じ言葉が聞かれました。

市担当者「市民のみなさんには計画の当初から参加してもらいました。毎月会議を開いて、どんな街づくりを進めていくのか、その決定過程に入ってもらいました」