聴覚に障害を持つ選手たちが挑んだ、全国ろうあ者体育大会です。沖縄初開催となるこの大会には、大会に出場できること、全国の舞台で試合ができることに喜びを噛み締めている選手たちがいました。
聴覚に障害を持つ選手たちの大会「全国ろうあ者体育大会」沖縄初開催となる今大会には全10競技に1100人あまりが挑みました。県勢も50人余りが参加する中、注目されたのが、沖縄チーム初結成となる軟式野球。メンバーの招集に動いたのは、大会の選手宣誓もつとめた、エースでキャプテンの高良昌莉(しょうり)さんです。
高良昌莉主将「50年前、聾者の野球があったと聞いて、今年復活出来たらいいなと思って集めました。」
高良さんは、映画「遥かなる甲子園」で昔、沖縄で難聴児が活躍していたことを知り、今大会でその復活をと、意気込んでいました。さらに、高良さん同様に気合が入っているのが伊良皆公佑さん。伊良皆さんは、八重山農林高校出身。高校では、野球部で仲間たちと甲子園を目指し充実した日々を過ごしていました。しかし、高校卒業後は、自分にあった野球環境を整えられずにいたといいます。
伊良皆公佑さん「(大学では)4年間頑張ってきたんですけど野球チームは本格的にはできなかったです。(この大会で)やっとチームが出来て、本格的に試合が出来るんだなという気持ち。まず1勝を望んで頑張っていきたいと思います。」
初勝利を目指す沖縄、まずチームを引っ張ったのは、エース・高良。この大会2連覇中の東京を相手に、最高のスタートを切ると、結成からおよそ3カ月、気持ちを一つにすることを大事にしてきたチームが声や音での連携を超えた、息ぴったりのプレーを見せます。
攻撃は1点を追う4回ウラ、1アウトランナー2塁・3塁のチャンスで打席には、6番・伊良皆!この当たりが相手のミスを誘い、チーム初得点で同点!ここから勢いに!…かと思われました。続く5回、東京打線が沖縄に襲い掛かります。高良にも疲れが見え始めフォアボールなどでランナーをためてしまうと。
このタイムリーなどでこの回3点を失います。さらに5点を追加され、迎えた最終回。それでも、沖縄ナインの顔には、笑顔がありました。
伊良皆公佑さん「初めての全国大会なので、勝っても負けても最後まで諦めずに最後まで笑顔で終わりたいという気持ち。」
勝利こそならなかったものの初めて全国の舞台で野球ができたことは掛け替えのない経験となりました。
伊良皆公佑さん「全国大会が出来たことを誇りに思っています。」
高良昌莉主将「聾者と健聴関係なく、一緒に野球が出来るように広めていけたらと思っています。」
以上スポーツ部でした。