空手発祥の地、沖縄に世界の空手家たちが集った、空手1・プレミアリーグ。日本初開催となるこの大会には44の国と地域からおよそ320人の猛者が集い、磨き抜かれた華麗かつ力強い技を競い合いました。
この強者揃いの中で、特に強い存在感を放つのが県出身、日本代表の喜友名諒。
このプレミアリーグでも過去に個人形・団体形の両方で2度の優勝を果たすなど、今や沖縄空手界を牽引する喜友名。今大会には今まで以上に強い思いがありました。
喜友名諒選手「自分が小さい時から大会などで戦ってきた場所で試合だったので、ここに焦点を置いて稽古をしてきたので。」
自身の空手の原点である沖縄開催の世界大会。気合の入る喜友名は、貫録の演舞で個人形を制します。しかし、喜友名は満足はしていませんでした。
喜友名諒選手「個人の方で優勝はできたんですけど、明日本番の団体形もありますので。」
世界の空手界を牽引する選手たちが鎬を削ったこの大会。目の前で広がる世界最高峰の空手を食い入るように見つめる若き空手家もいました。
浦添高校3年、新垣夏紀さん。開催地枠・沖縄代表に選ばれた新垣さんは「組手」に出場する選手の中で最年少です。
新垣夏紀選手「今は緊張のドキドキですね。(Q.夜は眠れてますか?)夜は眠れています、そこは大丈夫です(笑)。世界の強豪選手が集う大会で、胸を借りるつもりでいくんですけど、一つでも多く試合が出来るように、頑張っていきます。」
新垣さんにとって初の国際大会で外国人選手と対戦するのも初めて。両親も見つめる中で始まった1回戦。
積極的に前へ出る新垣さん。しかし、冷静に試合を運ぶ相手からカウンターを浴び、リードを許してしまいます。
その後も攻め続ける新垣さんでしたが…1ポイントも奪えず、1回戦敗退。世界の壁の高さを痛感します。
しかし、その新垣さんに思わぬチャンスが訪れます。新垣さんを破ったイランの選手がその後も勝ち進み決勝へ進出。大会の規定により、敗者復活戦への出場権を手にしたのです。
ここから新垣さんの快進撃が始まります。世界の強豪相手に臆することなく、前へと攻め続けます。
敗者復活戦で2連勝。表彰台のかかる3位決定戦まで這い上がります。
その3位決定戦。相手は日本選手権5位の実力者。試合はお互いに点を取り合う、緊迫した試合となります。
2-2の同点のまま迎えた終盤、3連戦で集中力も切れていたという新垣さんをアクシデントが襲います。
相手の拳と肘が、新垣さんの右目を直撃。そのまま起き上がることができません。試合は、相手の反則で新垣さんの勝利。しかしそれに喜ぶ余裕もなく、すぐさま病院へと搬送されてしまいます。
迎えた翌日、会場では決勝戦が繰り広げられます。その会場に、右目に眼帯をしながらもやってくる新垣さんの姿が。
新垣夏紀選手「(Q.ケガ大丈夫?)はい、大丈夫です。世界の選手をたくさん見たいんで、お母さんもお父さんも反対したけど、来ました。」
父・修さん「どうしてもこの会場に行きたいということで親の反対を押し切って来てしまいましたね、夏紀らしいです。」
新垣夏紀選手「沖縄で世界大会が開催されるというのは滅多にないことなので、このチャンスを逃してはいけないと思い、心配されているのはとってもわかるんですけど、この見たいという気持ちが強かったので。こういう雰囲気というのは国内の大会では味わえないので。一つ一つの技が重みがあって。」
その新垣さんの見つめる前、男子団体形決勝に挑んだ喜友名諒。同じく県出身の金城新・上村拓也と組んでおよそ7年。沖縄の地で、この3人で勝つことこそ、喜友名の大きな目標でした
喜友名諒選手「ずっと3人で練習してきているので、ここに勝つことを目標としてやってきたので、一番今まででも楽しく演舞出来たと思います。」
見事地元で果たした世界一。空手発祥の地で、世界に誇る沖縄空手にまた新たな歴史を刻み込みました
喜友名諒選手「団体での優勝の方がきのうの個人よりも何倍も嬉しくて、自分たちが今まで稽古したのがこの舞台で思いっきり演武できてよかったです。」
新垣夏紀選手「見て学んだこの多彩な技や、駆け引きを自分のものにして、しっかりケガをなおして国体にむけてがんばっていきたいと思います。」
沖縄の空手界にとって大きな2日間となりました。なお、気になる新垣さんのケガの状態ですが、右の目の下の骨折ということで全治1カ月と診断されました。新垣さん自身はすごく元気ということですが、まずはしっかり安静にしてケガをなおしてから、今回の経験を次の目標へとつなげていってほしいと思います。