こちらは今年4月1日現在の、県内の待機児童数です。現在23市町村で2151人。潜在的な待機児童数になると1万1千人とも言われ、非常に深刻な状況にあります。ここ数年、行政が「待機児童ゼロ」対策を掲げる一方、新たな問題も生じているようです。
石川キヨ子園長「約束したよ。わかったね」
那覇市首里にある認可保育園。1972年に開園して42年、地域の子ども達を保育しきました。現在、老朽化に伴い園舎は建て替えが行われています。
石川キヨ子園長「ここに2階建てで140名収容になります。4、5年前より50名増えるということです。」
老朽化による建て替えの場合、市から助成が受けられますが、市側からはできる限り面積を広くし、定員を増やすことが求められました。認可園は子どもの数に対し、保育士の数や保育室の広さが決められていますが、定員が増えればその分様々なところで負担は大きくなります。
石川キヨ子園長「子ども達同士のかかわり方も落ち着いた中でエネルギーが出せる毎日真位置に動き回る子ども達を追いかけるだけでなく安定した環境があれば疲れず生きがいが見いだせるので継続して働いてもらえる。」
那覇市では、待機児童対策として、昨年度から認可園の定員の見直しや分園化を進めてきました。しかし、今ある既存の保育園でなんとかカバーしようとすれば、保育士や保育園への負担、そして、何より子ども達の環境にも影響を及ぼしかねません。
保護者「設備や整備もあるが保育士の連携が取れていること(保育士の)数が足りなかったりとかは不安
こちらの保育園は1987年に開園。独自の保育理念の元、27年間認可外保育園として運営してきました。
高江洲功園長「プールは1歳から3つの基本がありまして遊び・運動・体験と運動の中にプールは入っています。」
那覇市以外からも通ってくる子どもがいるほど毎年、定員はいっぱい。そんな人気の保育園ですが、今年、3年後の認可化に向けて動き出しました。そこには、認可外保育園ゆえの厳しさがありました。
高江洲功園長「今、保育士募集を出してもなかなかいない。特に若い先生方は認可や公立を希望する傾向にあるので認可外保育園にいらっしゃる先生方は少ない。」
今、こうした保育士の確保も、待機児童解決への大きな課題となっています。現在、県内で保育士の免許を持つ人はおよそ1万9000人。実際に働いているのは、その半数以下です。昨年末、県では保育支援センターを立ち上げ2018年までに待機児童ゼロを目指して、保育士の確保や保育園とのマッチングそして、認可外保育園の認可化などに力を入れています。
子どもが不安なく過ごせる親が安心して預けられるそして保育士がやりがいを感じて働ける数の対策のみに目を向けるのではなく「子供を育てる環境作り」が今、求められています。
那覇市では今年度から県内では初めてとなる株式会社の認可参入に向けて動き出し、また、県では3年後までに県内で62カ所の認可化を目指しています。待機児童をゼロにしたいという自治体の努力の一方、子どもの安全、保育士や教師の労働環境などないがしろにできない問題にも目を向ける必要があります。