Aくん「(Qお母さんは何も作ってくれないの?)何も作らん(Q学校の給食とか?)学校は給食時間までいないそれまでに喧嘩して学校出るから(Qお腹すくでしょ?)お腹すくね。」
学校では先生と衝突することが多く、途中で帰ってしまうというAくん。でも、ここでは素直にお昼ご飯の手伝いをしています。
那覇市が子ども達の「居場所」作り事業として去年7月に開所したフリースペース「kukulu」。生活保護世帯にあって不登校や非行などの課題を持つ中学生を対象にした場所で、自治体が運営するのは県内では初めてです。
「kukulu」で最も重要視されているのが「食事」の時間。食育コーディネーターが入り、日々のメニューを活動の一つとして考えています。
今木さん「全部私が作っちゃうと面白くないのでこういう日を作ったりとか子ども達だけで作る日とか。」
一日一食の子、カップラーメンしか食べない子、野菜が全く食べられない子、偏食傾向にある子ども達に食事が楽しく大切なものであることを伝えようとしています。
金城代表「みんな偏食だったり時間通り食べられていなかったりごはんは炊いて食べないとか割とそれぞれの家庭があるのでそのあたりしっかりとメニューを作ってもらって、その中で考察も入れてもらっているのでそこを踏まえて次こんな料理で仕掛けてみるというのがここの活動の一つの柱かなと思う。」
Aくん「超うめー」
今木さん「おいしい?おいしいそうです。」
Aくん「けどくいずらい。」
金城代表「それはね頑張って食ってください。」
金城代表「学校いつまで?」
Cくん「今日までじゃないの。」
金城代表「今日で終わり?」
Cくん「じゃないの?知らない。」
今木さん「そういう俗世のカレンダーと違うところで生きていますから。」
この3月まで、「kukulu」には14人の中学生が通っていました。様々な境遇の子ども達、平日毎日通う子もいれば、頑張って週に1〜2回だけ通う子もいます。
金城代表「居場所のコンセプトとしてまず安心して定着してもらうんですけど、あくまで学校に戻ってもらうとか将来進学してもらってしっかりと自分の地位を築いてもらうことが目的。」
今、子どもの6人に一人が貧困と言われる中、子ども達に必要とされている「居場所」。親に頼れない、でも学校にもいけない、そんな子ども達が、自分を見つめる場所です。開所して8ヵ月ですが、安心して過ごせるこの場所は思春期の子ども達の心に変化をもたらしていました。
ケンカが絶えなかったAくん。
Aくん「(Q喧嘩が減ったとか?)めっちゃ減った。学校の大人は1対1で話してくれないから。(Qククルの大人は理解してくれる?)うん。めっちゃククルが大好き」
そして、14人の中で一番長く通ったBさん。
Bさん「小学校時代からいじめられてて学校行くって思ったら体調崩しやすくなっちゃって行ってなかった。」
小学生の頃からいじめにあい、学校に行けていませんでしたが、ククルにはほぼ毎日通いました。
Bさん「今まで自分の居場所がおうちもあんまりいたくなかったからここにきて居場所ができた。」
金城代表「7月に受託を受けて本格的に児童が通い始めたのが9月10月で3年生中心であったことを考えると、短期間でよく児童たちがいろんなことに向き合ってくれたなという気持ちはあります。」
卒業式当日
3月31日。「kukulu」にとって初めての卒業式の日です。卒業生は最後のお昼ご飯。今までで一番賑やかです。
拍手の中卒業生入場
卒業生代表Bさん「実は私はククルに来る苦手なことがたくさんあり何もかもあきらめていました。でもククルにきてからいままでできなかったことにチャレンジでき、苦手としていた人前で話す事も今は緊張せず自分に自信を持って話すことができるようになりました。」
Bさんはイラストレーターの夢に向かって、通信制の高校と絵の勉強の両立に励みます。Yくんも県立高校の定時制に合格。全員の進路が決まり晴れて卒業式を迎えたこの日。その表情は、自信に満ちていました。
金城代表からAくんへ「これから先自分を貫くあまり周りと衝突するかもしれませんがしなやかにあなたの道を歩んで行ってください。」
子ども達にとって大切な時期の成長を見守ってくれる「居場所」こうした事業が負の連鎖を絶つ一つの道であり、今必要とされています。