仲井眞知事の埋立て承認を受け、地元・辺野古区が政府に対し、補償を求める要請文を提出しました。
沖縄防衛局を訪れた辺野古区の嘉陽区長と行政委員会のメンバーは、2013年12月の仲井眞知事の埋立て承認を受け「区民の利益を最優先に守るため、現実的に対応するのが区の責務である」として、周辺道路や下水道処理施設などのインフラ整備といった振興策や区民に対して補償金を支払うことなどを求めました。
嘉陽辺野古区長は「辺野古区はこの度の沖縄県知事の埋立承認という新たな展開に鑑み、合意締結に向けた条件整備の作業を加速することが重要であると判断しました」と要請文を読み上げました。
武田沖縄防衛局長は「本日頂いた要請については現在の状況を十分に踏まえ、如何なる制度のもとにどのように実現させるのかしっかりと検討したい」と答えました。
一行はまた、名護市や県に対しても政府への要求が実現するよう協力してほしいと要請しましたが、稲嶺市長や仲井眞知事の直接の応対はありませんでした。辺野古区では今後、官邸などへの要請も検討しているということです。
取材にあたった棚原記者に聞きます。きょうの要請は非公開だったということなんですが、辺野古区はどんなことを求めたのでしょうか?
棚原記者「きょうの要請は辺野古区が政府に対して行ったもので、それが実現するよう県と名護市にも同じ文書を出しました。内容についてはこちらをご覧ください」
(1)道路や下水道処理施設といったインフラの整備、(2)沖縄高専や久志区周辺のヘリパッドの撤去、(3)生活環境の悪化に対する補償金の支払いなど、13項目があげられています。
このタイミングでの要請にはどういう背景があるのでしょうか?
棚原記者「やはり仲井真知事の埋め立て承認が大きく影響しています。地元がどんなに反対しても頭越しに計画が進められてしまうという『あきらめムード』、どうしても基地が造られてしまうのであれば、地元の意見を聞いてもらえる余地を残しておきたい。そんな複雑な地元の思いが見えてきます」
しかし、こうした要請をすることによって辺野古は受け入れたんだという印象は否めなくなりますよね。
棚原記者「しかし、今回の要請は辺野古区全体の総意ではありません。住民の声を聞きました」
ヘリ基地建設に反対する辺野古区民の会・西川征夫代表「知らされておりません。辺野古の区民はほとんど知らなかったと思います。やはり辺野古区内では賛否両論あったわけです。条件付けて受け入れる人たちと、いかなる条件でもダメだという我々がいるわけで。辺野古には賛成する者だけではなく、我々のように反対する人もいるんだということをアピールしなくちゃならない」
辺野古区民への補償金というのが実現する見通しはあるんでしょうか?
棚原記者「辺野古区では2008年にも同様の要請を行っていますが、当時政府は補償金の支払いには『今の法律では難しい』と回答していました。ですから、非常に実現性は低いと思います。ただ、防衛局は着工に向けて先週11日、作業ヤードとなる漁港の使用許可申請を出したほか、既に業者の入札を終えるなど、着々と準備を進めています。今回の区の動きなども地元が受け入れに向けて交渉に入ったような誤ったメッセージを政府に送ることになるのではないかと危惧する声もあります」