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県内の事件や事故を担当する県警担当記者、通称サツタンが日ごろのニュースを掘り下げて伝えます。きょうは、脱法ドラッグについてです。

走れ!サツタン 脱法ドラッグの危険性

大矢記者は「はい、まずはこちらをご覧ください。これは、脱法ドラッグを売っている店の数です。東京に大阪と大都市を抱える県に続いて、沖縄県は第4位です。幻聴や幻覚など身体に悪影響を与える脱法ドラッグが、規制の網をくぐり、街中で簡単に入手できてしまいます。そんな脱法ドラッグに関わる法律が、来月1日から大きく変わるのを前に、県内の現状を取材しました。」と話します。

3月19日。那覇市、国際通りの店舗で警察官と県の職員たちによる脱法ドラッグの抜き打ちの立ち入り指導がありました。脱法ドラッグとは、「合法ハーブ」、「お香」などと称して、街中やインターネット上で売られていて、いつでも誰でも、4〜5千円で簡単に手に入れられます。その中身は、様々な薬物が混ぜられていて、一体何がどれくらい入っているのか分からない、危険なものです。

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那覇市消防本部救急課長消防指令長・比嘉義樹さんは「主な症状としては意識障害が出るということですね。笑ったり、急に踊り出すとか、あります。気分が悪いとか、不穏状態になる。手足をばたつかせているとか。」とその症状を説明します。

脱法ドラッグが原因とみられる県内の搬送は、2013年1年間で19件。2012年は、40件で、当時、那覇市内では、脱法ドラッグが原因の交通事故も発生するなど、社会問題として注目されるようになりました。

宜野湾市で薬物依存者のためのリハビリ施設「沖縄ダルク」を運営する森さんの元には、ここ2年間、「脱法ドラッグから抜け出したい」という人からの相談が増え続けています。

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沖縄ダルク代表の森廣幸さんは「違法薬物よりもひどい状態で、こちらに繋がってくる人が多いですよ。元々違法な薬物をやっていた人が、もう捕まりたくないから、これだったら捕まらないから、簡単に辞められるだろう、安価だし、安いし、簡単に手を出して、辞めれなくなって」と話していました。

ダルクでは、現在、20代から50代まで、全国から集まった28人が、薬物依存を断ち切ろうと、リハビリプログラムを受けています。そのうち、10人が脱法ドラッグの経験者です。

ひとりの男性は「仕事がうまくいかない。人間関係がうまくいかないという関係で、安くて、どこでも手に入って捕まらないという理由で、最初はリラックスできるという理由で使い始めましたね。使っていて、例えば、虫が湧いて来ちゃう、中学生の時に薬物使っちゃいけないと言われていたビデオのように、本当に虫が出てきちゃって」と話します。

26歳のこの男性が薬物を始めたのは12歳の時。麻薬密売組織の一員として薬漬けの生活だったといいます。「コカインや覚醒剤、大麻、LSDなどすべて。脱法ハーブや脱法パウダーの生成などにも関わっていて、そういう海外のマフィアに所属していて」刑務所を出ても薬をやめられず、すがるような気持ちで辿りついたのがダルクでした。男性は、脱法ドラッグは裏社会に繋がっているといいます。

先ほどの男性は「(製造は)海外ですね。中国人、韓国人のマフィアが作っています。結局笑うのは売っている組織が笑うだけで、結局離脱が激しくなって辞められなくなって、現実が目に見えて分かっているので、絶対に手を出さないほうがいいと思います。」と話します。

キャスターが尋ねます。「脱法ドラッグが、平然と街中で売られている、麻薬と同じような効果なのに、なぜ規制しきれなかったのでしょうか」

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これに対し、大矢記者は「輸入、販売が禁止されているこの指定薬物は、1年前まで、90種類でした。ここに含まれていない物質や、指定された物質の構造を無理矢理変えたものが「脱法ドラッグ」として法を逃れて販売されていて、まさにいたちごっこのような状態が続いていました。その対策として、現在では範囲が1300物質まで一気に拡大されました。さらに4月1日からは、所持、使用も禁止となり、違反するとこのような厳しい処罰も加えられます。」と説明。

「この厳罰化で、脱法ドラッグを抑える効果は期待できますか?」という質問には

大矢記者「実はそこに課題があります。脱法ドラッグを摘発するためには、どの指定薬物に当てはまるか検査しなければならないのですが、ここに県の課題がありました。」

様々な薬物が混ざり合った脱法ドラッから、1300種類ひとつひとつを調べ出すのは、とても難しい作業だといいます。さらに検査には、基準となる指定薬物のそのもの必要なのですが、現在、県がもっているのはおよそ100種類だけです。

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県・福祉保健部薬務疾病対策課薬務班長・玉城宏幸さんは「大体一物質1万から2万くらいは平均ではするので、1300種類全部そろえるとすると、1300万円とかそれくらいの以上の金額がかかると思います。」と話します。

例え罰則が強化されても、検査体制が整っていないからすぐに摘発に結び付かないというのが県の現状です。

いくら規制薬物を増やしても、法をかいくぐって次々と新たな薬が作られています。これを断ち切るためには、ドラッグに含まれるおおもとの成分の輸入を制限するなど、より抜本的な法改正が必要ではないかと話していました。

また、いま薬物依存で苦しんでいる人たちを救うためには「厳罰化」よりも、彼らが「助けてほしい」と正直に声をあげられる環境づくりや、社会復帰をサポートするシステムが必要だと感じます。