Qプラスリポート、きょうは「ドクターへリ」について。中川アナウンサーです。
中川アナウンサー「沖縄県のドクターヘリは運航5年目を迎え活躍の場を広げる一方、課題も見えています。ドクターヘリに密着取材しました。」
ドクター「分かりますか?もう病院ついてますからね」
1月下旬、県立浦添総合病院の救命救急センターに搬送されてきたのは、渡嘉敷島でダイビング中に溺れた20代の女性。渡嘉敷島から病院に搬送された時間は、わずか14分でした。この女性を救ったのが、「ドクターヘリ」。
2008年12月1日から県と国の補助を受け、浦添総合病院が運航している沖縄県のドクターヘリは、去年活動5年目を迎えました。県のドクターヘリは、県内の周辺離島はもとより遠くは鹿児島県の徳之島までの広い範囲をエリアにしています。
新里先生「ドクターヘリの一番のメリットっていうのは、僕らが早期に患者さんにあたって、現場から医療を始められる。そうすることで救命率、患者が助かる確率が高くなったりだとか、あるいは後遺症が減ってですね退院していくことが増えるっていうことはデータとして出ているので。」
医者とナースを直接患者のもとへ送り込むことから、空飛ぶER(スーパー:救急救命室)とも呼ばれています。
これは、ドクターヘリ5年間の活動の中で、消防や離島の医療機関から要請を受けて、実際にヘリが出動した件数です。要請があると読谷基地から現場に向かい、患者をのせて牧港ヘリポートへ。患者は、着陸後すぐに救急車で浦添総合病院に運ばれます。
ホットライン電話「はいドクターヘリホットラインですが、久米島ですね」
この日は、久米島から緊急要請が。30代の女性が激しい腹痛を訴えていました。すぐに医師と看護師がヘリに乗り込み、出動要請があってから約5後に離陸。久米島につくとすぐに患者をヘリに乗せ、素早く救命処置に入ります。
ドクター「痛み止めもってますので、つらかったら教えてくださいね」
新里ドクター「ずっと通して安定はしてました。ただ、いつかの段階で急変するかもしれない、その可能性も秘めてはいるので、そういう心構えをしながら搬送していました。そういう意味ではドクターヘリを利用してくれてよかったと思います。」
女性は久米島から33分後「南部医療センター」に無事搬送されました。浦添総合病院の運航するドクターヘリがなぜ南部医療センターに患者を搬送したのでしょうか。
八木先生「基本的には患者さんの住んでいる地域であるとか、もしくはその患者さんの家族ご家族の住んでいる地域、そういったものを優先的に選択しています。」
浦添総合病院が運航するドクターヘリだけにすべての患者が浦添総合病院に搬送されていると思われがちですが、実は、搬送される割合は出動全体のおよそ3割で、他7割程は他の病院に搬送されているのです。
患者の容体にあわせ必要な専門医がいる病院や、患者の出身地に近い病院に送り届けていたのです。そこから、県のドクターヘリが県内の広域医療を果たしている姿が見えてきます。
救命救急センターあおい先生「5年前に比べると格段に消防との連携はよくなっていますし、離島の先生あるいは搬送先の先生との連携も格段によくはなっていますので、まだ改善する余地はありますけれども、命は繋げていっている、ちゃんと救えてる。」
病院の枠を超えて患者の命を最優先する県のドクターヘリ。しかし、まだ改善しなければならない課題も残されています。そのひとつが「認知度」未だ県のドクターヘリとして浸透していません。もっと知ってほしいとの思いから、去年12月、ヘリに新たな名前がつけられました。
その名も「てぃーだヘリ」
新里ドクター「沖縄やっぱり海とか空とか太陽とかっていうのは、非常にいいとこだと思うので、そういう想いも込めて「てぃーだヘリ」という風なネーミングにしました。下から見た時に子供たちがてぃーだへりだ、てぃーだへりだって言ってもらえるような感じにしていきたいですね。」
今日も県民の命を救うために、空を飛びつづけます。ドクターヘリと聞くと、北部の民間救急ヘリだと思われる方も多いでしょうね。確かにどちらがどうか聞かれると難しい。
中川アナウンサー「はい。そうなんです。そこで沖縄県ドクターヘリは「てぃーだヘリ」という名前をつけて、認知度を高めようとしています。さらに深刻な課題は、「ヘリポートの整備」の問題があります。ヘリが着陸する場所は何か所かあるもののヘリポートの整備が進んでいないために、ヘリの着陸地点は限られています。そうすると、一刻を争う患者の搬送に影響が出ることからヘリポート整備を早急に進めてほしいと取材した医師は話していました。」