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末松陣営・島袋吉和選対本部長「名護市は今不景気の風が吹き荒れております。これを稲嶺不況、さびれゆく名護市、我が町と言う風に揶揄されております」

シリーズ名護市長選5 基地と経済振興

辺野古への基地建設を最大の争点にした名護市長選挙。推進派の末松さんは基地受け入れの見返りとして得られる振興策などをフルに活用したまちづくりを訴えています。

末松候補「この財源としては今、話題になっている再編交付金とか、北部振興活性化事業だったり、一括交付金だったり。260億の財源があると10年は続くと思う。10年間に財源を活用して、経済を底上げする。10年後、普天間が移設された段階で、再編交付金に替わる交付税が入る、一定の交付税が入る。そういったことを活用しながら、次の展開を図っていく」

シリーズ名護市長選5 基地と経済振興

これに対し、基地に頼らない街づくりをかかげる稲嶺さんはこう反論します。

稲嶺候補「相手候補は基地を推進するということで、そこから発生してくる再編交付金頼みというのがほとんど。再編交付金なんて言うのは非常に期限の限られたものでありますし、それがなくなったら、その後どうするのか?じゃあもう一回新しい基地を誘致するのか」

これまで国も県も基地とリンクしないと言っていた振興策。しかし今回の選挙はそのつながりが露骨に表れています。その振興策に対して、意外な人から意外な意見が出ています。元衆議院議員の嘉数知賢さん。かつて防衛政務官を務め、辺野古移設には推進の立場ですが、振興策については慎重な姿勢を示しています。

シリーズ名護市長選5 基地と経済振興

嘉数知賢さん「沖縄県の北部の市町村がしっかり消化できるか、役所の能力的に。これが問題だと思う。貧乏人が急に金を持って、思いっきり使いなさいといって使えるか。そういう意味では政府が出した交付金がうまく生かせるなら良いけど、そうじゃなかったら絵に描いた餅になる」

つまり嘉数さんは、身の丈に合わない振興策を受け取っても上手に使いきれないのではと考えているのです。また、振興策と引き換えに基地を受け入れてしまうと、オスプレイなどによる基地被害が出ても、今後、一切物が言えなくなるのではないかと心配しています。

嘉数知賢さん「懸念しているのは、安倍政権になってから、日米間の中で沖縄とどう対応するか、はっきり出て来ない。そのために米軍はやりたい放題やっている。オスプレイも約束を守らないで、夜中も飛び回っている。これに対してどう対応していけるか。振興策が出て来たから、口をつぐまざるを得なくなるとおかしくなる。最終的には基地と訓練だけが押し付けられてしまったなという形になりかねない」

きのう16日、末松さんの応援に駆け付けた自民党の石破幹事長。国の財政支援を大々的にアピールしました。

石破幹事長「よしやろう。日本国挙げて、名護のために全力を尽くしてまいります。そのためには間違いなく確実な財源が必要」

末松支持・宮城安秀名護市議「55区ある行政区に再編交付金の一部を直接交付し、地元行政予算と位置づけて地元区でできる課題があると思う」

シリーズ名護市長選5 基地と経済振興

基地か振興策か?露骨に選択を迫られる選挙。財政学が専門の京都府立大学の川瀬光義教授はその矛盾をこう指摘します。

京都府立大学・川瀬光義教授「新しい基地造るのを断ったら経済振興なるものがないみたいな話になってしまって、基地か経済かの二項対立はとてもおかしいという。そういう構図自体が間違いじゃないか」

振興策と基地。本来は二者択一ではないはずの2つのテーマ。しかし名護市民は、国にその選択を迫られるという厳しいにおかれているのです。