長寿陥落の背景に迫る危ない長寿の島。きょうは肥満を原因とする糖尿病、そしてそこから発症する恐ろしい合併症について考えます。
すながわ内科クリニック砂川博司院長「約7万人の方がいるが残念ながら半数もの人がほとんど治療を受けていないと推測されています。そして予備軍は14万人もいるという状況です。」
今月、沖縄で日本糖尿病学会。県内では肥満からくる糖尿病の患者は年々増え続けていて予備群と言われる人たちと合わせるとその数は21万人にもなると言われています。そもそも糖尿病には1型と2型がありますが、日本人に多いのは肥満が引き金となって発症する2型です。
糖尿病患者療養体験より「友人とのモアイを月５回昼のバイキングを食べて（脳梗塞で）入院時のメニューなどすっかり忘れていました。これではまずいと思い、模合をすべてやめ糖尿病の本で食事の管理をしています。」
肥満率全国ワーストの沖縄では糖尿病による死亡率が2005年は男女ともワースト、2010年にはやや改善したものの依然として高く、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす危険も高いことから沖縄の平均寿命陥落に大きく関係していると見られています。
さらに、学会ではもう一つこんな事実も明らかになりました。
砂川博司院長「これは沖縄県の透析の導入の患者数ですが全国を１とすると約１.８倍人口当たりにすると沖縄県はナンバー１です。多くの原因が糖尿病なんですね。」
糖尿病にはいくつかの合併症がありますが、中でも恐ろしい合併症「腎症」（＝慢性腎臓病）これにより透析へと進行する人の数が県内ではとてもに多くなっているというのです。なぜ糖尿病から透析になるのか。長年透析治療にかかわる首里城下町クリニックの田名先生に聞きました。
田名毅医師「肥満が多いということは糖尿病になる患者さんが増えるということですし、糖尿病になる人が十分な治療を受けていたらいいのですが治療のタイミングが遅れたり、十分な治療がなされない状態が長く続くと尿にたんぱくが出てきて腎臓が悪くなるということ。」
腎臓は体内を流れる血液をこの糸球体と呼ばれる部分でろ過しその老廃物を尿として排出させる働きがあります。しかし、長期間高血糖が続くと血管がもろくなりろ過する機能が衰えていくというのです。
田名医師「尿というのは腎臓が出す一番わかりやすいサインということになります。尿たんぱくが出ているということがすでに腎臓に何らかの問題が起こっているサインですので、尿検査でわかる腎臓病ということでは常に意識できる一番簡単な手段。」
肥満の延長線に糖尿病がありそれを軽視すると腎臓病につながる恐れがあるんですね？
秋山「透析に至る病気の第１位となっているこの糖尿病からの慢性腎臓病。慢性腎臓病になって一気に透析というわけではないんです。ただ、VTRの冒頭にありましたが、糖尿病の半数もの人がほとんど治療をしていないことから、そのまま放置した結果。合併症を引き起こしてしまっているケースが非常に多いということなんです。さらに腎臓は沈黙の臓器。肝臓と同じく悪くなった腎臓は回復しないことから、気付かない間に手遅れになっているかもしれません。」
透析中の宮城さん「基本的には週に3回、4〜5時間。今年9年目2005年からです。」
田名先生の病院で透析を受ける宮城輝さん。以前は、熱血営業マンだったといいます。そんな宮城さんの腎臓がサインを出したのは18年前。40歳の時でした。「尿たんぱく＋１」
講演する宮城さん「だるいとかけいれんを起こすとか尿毒症にならない限り一切出てこないので全然気が付かないんですね。本当に痛くもかゆくもない。」
前日に運動したり、食べ過ぎたら出ると言われる尿たんぱく。健診結果を特に気にすることなく過ぎた日々。一方で、尿たんぱくは上がり続け、病院を受診したときにはすでに「慢性腎臓病」と言われました。
宮城さん「私の生活は夜の飲み会がある日は車を置いて、用意された夕飯を食べて9時ごろから集まって酒飲んでいた。僕はこのころ模合4件やっていましたので、毎週土曜日毎日のように酒飲んでいた。本当に生活習慣病の悪い見本ですからこういう風になってほしくない。」
食事や水分制限と共に一生続く透析。一時は仕事も辞め家にこもってしまったという宮城さんですが、今、透析患者が増えている現状に自分と同じ辛さを味わってほしくないと沖縄県腎臓病協議会の事務局長として講演活動をしています。
秋山「宮城さんの場合、糖尿病による慢性腎臓病ではないのですが、透析に至った原因は生活習慣病。講演活動では受診する・自己管理をする・そして10年前の健診結果と見比べるという３つの【J】を訴えています。こちらに腎臓病の危険のサインとなるものを並べました。１つでも当てはまるようでしたらその危険があるとの事ですから那覇市を始め自治体で無料の糖尿病検診が行なわれているようですのでぜひ問い合わせてください。」