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物事のそもそもつまりを分かりやすくお伝えする「そもつま」です。

今日は「ヤンバルクイナ」について、草柳さんです。

草柳「きょうは9月17日、クイナの日です。皆さんよく御存じのヤンバルクイナですが、野生のヤンバルクイナを見たことがある方、どのくらいいらっしゃるでしょうか。」

先週金曜日、ヤンバルクイナを探しに行ってきました。

朝6時ころ、まず声が聞こえ始めました。そして回りが明るくなると、木の上で眠っていたヤンバルクイナを発見しました。まずは羽のお手入れをして、木を降りてきます。

そして複数の個体が次から次に現れ、エサを探し始めました。ヤンバルクイナが公式に新種として発表されたのは1981年、わずか30年余り前なんです。それまでも地元では目撃されていて、慌て者という意味の「アガチ」「アガチャ」、山の鳥という意味の「ヤマドゥイ」などと呼ばれていたそうです。愛くるしい表情の、飛べない鳥として、あっという間に、全国にその名を知られるようになりました。

さて、早起きしてヤンバルクイナを見に行くのはなかなか大変です。そこで、先週土曜日にオープンした、こんな施設はいかがでしょうか。

こちらは、国頭村安田にオープンした「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」です。おととし保護された卵からかえったメスのヤンバルクイナ1羽が、常時展示されていて、いつでも生きたヤンバルクイナを見ることができます。オープン初日のこの日は、村内外から多くの人が訪れ、ヤンバルクイナをじっくりと観察していました。

どうぶつたちの病院沖縄江藤奈穂子・研究員「こちらでヤンバルクイナ、生きたヤンバルクイナを間近で見ることが出来ます。その中で行動を観察していただいて、ヤンバルクイナのことをより理解していただいた上で、さらなる保護活動に協力頂いたり、ご理解を頂く。」

ヤンバルクイナは、マングースや猫などによる捕食、交通事故などで年々減少しているといわれてきました。また生息域も狭まっているとされてきました。現状はどうなっているのか、野生生物保護センターで伺ってきました。

やんばる野生生物保護センター山本以智人・自然保護官「去年環境省の公式な発表で、これまで推定生息数1000羽と言っていたのが、1500羽程度に増えているだろうと。ただ生息数1500羽というのは決して多くはなくてですね、以前として希少であると、貴重な鳥であるというところは変わらないところです。マングースの防除事業を10年ほどやらせていただいてですね、やんばる全域のマングースはかなり数が減っています。その成果もあってですね、ヤンバルクイナの生息域も南の方へですね、拡大をしています。拡大というか回復しています。」

個体数も少しずつですが増えていて、生息域も少しずつ回復傾向ということですが、それに伴ってやはり気になるのが、ヤンバルクイナが車に轢かれる事故の増加です。看板を立てたり、保護体制を充実させたりと関係者の努力が続いていますが事故の件数は増え続けています。実は2010年以降、3年連続で過去最高を記録し続けていて、去年は47件が確認されました。そして今年もすでに31件発生しています。

ただ唯一、明るいニュースは、確認された事故のうち、今年は31件中5件でヤンバルクイナが助かっています。事故に遭ったドライバー本人が直接連絡を入れてくれるケースが多く、早めに手当てを出来るケースが増えているそうです。

人間も動物も早めの通報が大事という点は同じですね。

草柳「その通りです。電話番号が周知されてきたことや、啓発活動などでドライバーの意識が高まってきたことが要因ではないかと生物保護センターでは分析していました。」

では、こうした事故を減らすにはどうしたらいいのでしょうか。再び、自然保護官の山本さんです。

山本さん「やっぱり、人間の前に出てくる個体が増えてきていてですね、人馴れをしているものもかなり増えているのかなと。その結果道路に飛び出してきてしまう個体も増えているのかなと。ヤンバルクイナの飛び出しが多い場所にですね、スピードに注意してくださいという看板を置かせていただいています。環境省で置いてる看板はですね、実際に飛び出しが確認されたところに置いていますので、データに基づく地点においていますので、看板のある地点は特に注意して走行していただければと思います。」

ヤンバルクイナを守るためには、ズバリ!看板を見たらスピード落として!そして事故を起こしたら、即通報してください。これに尽きます。

やんばるは、日本の面積のわずか0.1%、そこに、日本にいる鳥類の約半分、カエルの約4分の1が確認されるなど生物多様性に富んだ森です。クイナだけでなく、他の希少な生物も守っていくことが、最終的には我々人間のためにもなっていきます。

沖縄・やんばるにしかいない貴重な鳥ヤンバルクイナ、皆さんの力で守っていきましょう。以上、そもつまでした。