棚原「国内で公開された映画の中で最も長いという、9時間9分に及ぶドキュメンタリー映画が、この一週間限定で公開中です。三上さん見て来たんですよね?」
三上「5つの章があって、途中の休憩は本当にお手洗いに行くくらい。ぶっ通しでスクリーンを見続けるんですが、それは、戦後私達日本人が向き合ってこなかった出来事に向き合う時間でもありました。」
朝10時すぎ。那覇市内の映画館には、5枚綴りのチケットをもつお客さんがやってきました。タイトルは「笹の墓標」。テーマは、戦争中朝鮮半島から強制連行された上、不慮の死を遂げ、北海道の地に眠る遺骨たちです。
ダム工事や鉄道工事の現場で苛酷な労働を強いられ命を落とした人の遺骨を発掘しようと日本と韓国、在日コリアンの若者たちが集まりました。4体の遺骨が発掘されますが、初めての共同作業は日本と韓国の認識の違いも浮き彫りにします。
「侵略のことは教科書にちょっと載っているだけなの。今の自分の周りを楽しむだけなの」
若者達は、遺骨をもって韓国にわたり、遺族を捜す旅に出ます。
「お兄さん、両親が生きているときに帰ってきてよ」
劇場の外は夕暮れ
女性「なぜ私が朝鮮籍にこだわるかわかりますか?」
15年前に始まった「遺骨を掘るワークショップ」。中でも、複雑な立場にいるのが在日韓国朝鮮人の若者達です。
学生「正直なところ戦争責任と言われてもピンと来ません。俺に過去の清算を城と言われても困るっていうのがあるんですよ。在日の方からはどんなことをして欲しいのか教えて欲しい女性「そんなの自分で考えろってかんじ。」男性「こういう場所に来て韓国からのメンバーと話せなくて。挨拶くらいしかできなくて」
藤本監督「映画は心に深く届いて、その人の中で何かを動かしていく。それが映画の力だと思うので70年の向き合ってこなかった時間に自分が深く思いをはせる。そういう一日にして欲しい」
観客「日本人として胸にずしんと来ますね」
観客「もう吸い込まれるように感動しました。お尻が痛い。長かったですけど」
棚原「僕たちの世代が強制連行した訳じゃない」と言ってしまえばそれまでだけど、やっぱりお互いに自分の国の歴史はいやがおうにも背負っている部分はある。でも日本の若者が、韓国や在日のみなさんの歴史も共に請け負ってそこに向き合おうとして、15年も交流を続けてきたその積み重ねはすごいことです」
三上「桜坂劇場で今週金曜日まで朝10時半から夜7時半まで。後半、私はあっと言う間でした。日本と朝鮮半島の歴史に9時間じっくり向き合ってみようと言う方は是非」