注目の選挙です。自衛隊の配備に揺れる与那国町で、任期満了に伴う与那国町長選挙が、きのう告示されました。立候補しているのはご覧の2人で、自衛隊の配備をめぐり、一騎打ちの構図となっています。
日本で最も西にある島、与那国町。晴れた日には台湾が見え、尖閣諸島へもおよそ150キロの距離にある国境の島です。きのう、選挙戦がスタートした与那国町町選挙。最大の争点は、自衛隊配備計画への対応です。
崎原候補「ぜひ住民投票を実施していきたいと。そこで決着をつけたいと思っております。皆さんと共に与那国町の夜明けを宣言したいと思っております。」
まずは住民投票を実施して、住民の意思を問うべきだと訴えるのは、これまで誘致に反対する市民グループの代表を務めてきた崎原さん。
外間候補「もっともっと自衛隊誘致を推し進めるのが私の信念だと思っておりますので。私に託して、この与那国島の将来の発展をきちっとお約束します。」
一方、町長として2期を務め、すでに町有地を自衛隊に貸し出す仮契約を結ぶなど、誘致を進めてきた外間さんは、総仕上げの3期目にしたいと意気込みます。
与那国町で、自衛隊誘致が本格化したのは2008年。尖閣諸島近海で繰り返される中国船の領海侵入など、国境をめぐる緊張が高まる中、防衛省は、2010年の防衛大綱で、100人規模の沿岸監視部隊の配置を目指すと明記しました。
告示前夜、崎原さんの決起大会には、誘致に反対する市民グループや野党の議員らが集結。外間さんの決起大会には、知事や自民党の議員らの姿が。政府の力の入れようが伺えます。そもそも誘致が持ち上がった背景には、島の深刻な人口減少があります。最も多い時には1万2000人以上いたという人口は、現在1500人あまり。
崎原さんは、振興策に、農林水産業者が加工・販売までを手がけるいわゆる第6次産業を育てる事をあげ、自衛隊駐屯地のある長崎県の対馬市などを例に、自衛隊に依存しない経済発展を訴えました。
崎原候補「基地が入る3年5年は豊かで活気あるんですけど、その後は疲弊化していくというのが現状でございまして、自衛隊では活性化にならないよと申し上げているわけですから」
一方、外間さんは、自衛隊へ町有地を貸し出すことで発生する賃貸料や防衛省からの補助などを財源にインフラを整備し、人口の増加につなげたいと主張します。
外間候補「過疎化が進んでいて、何とかそれやってくれというようなものがあって、それを今の自衛隊誘致に絡んでそのものをやりたい。自衛隊誘致に伴って、そこに人・物・金が関わってくるわけですからね。衣食住があるわけですから」
街の声は…
街の人(賛成派)「だいぶ減ってます。年寄りもいませんよ。70代80代って少ないと思うよ。自衛隊が入ったら奥さんなんか連れてきて増えるから、ちょっとは良くなるんじゃないかねと考えてる。」
街の人(反対派)「観光もここ4、5年、どんどんお客さんも減ってきて生活も大変なんで、自衛隊で盛り上げていくんじゃなくて、そのほかでお客さんを呼ぶ工夫を」
賛成でも反対でも共通しているのは、島の過疎化を食い止めなければという切実な思いです。その一方で、投票率が100%近いことでも知られる与那国町長選挙。移住者からはこんな声も。
街の人「賛成と反対が2つに分かれるからね。選挙始まるとそういうのが余計クローズアップされてきて、普段の付き合いも控えるみたいな形もあると思います」「やっぱり(移住者は)浮いてる票だと思われるから、みんなこっっちちょうだいこっちちょうだいっていう動きはありますよ」
過熱する与那国町長選挙。注目の投開票は11日です。