名護市辺野古を出発した平和行進団の中で、ひと際、基地建設反対の声をあげていたのは韓国からやって来た人たちです。17年目となった韓国と沖縄の市民グループの交流。中でも注目された男性がいました。
ソン・ガンホさん「基地を見て、ここが独立国家か占領国か疑問を持ちました。日本が背負わないといけないものを沖縄と韓国に押し付けている印象」
豊かな海洋資源に恵まれた韓国最南端、済州島。そこで2007年から進められているのがカンジョン海軍基地建設事業。ソンさんはその反対運動のリーダーです。完成すれば韓国最大となる海軍基地。表向きは韓国軍のものですが、実際にはアメリカ軍が使うための基地とされています。しかも海軍基地の建設に絡み、小さな島には空軍基地や海兵隊の施設が次々に造られようとしています。
ソンさん「住民の同意もなく、自然環境への配慮もなく、武力によって無理やり工事が進行している状況です。海軍基地建設と合わせ、A、F、Gのいずれかに空軍基地が造られる。済州島は日本の植民地時代のように要塞化されようとしているのです」
地元では激しい反対運動が勃発。これまでにカンジョン村の村長を始め、住民など650人もの人が逮捕、連行されています。実はソンさんも去年逮捕され、半年間身柄を拘束されました。
ソンさん「私自身も昨年4月1日、誕生日でしたが、抗議行動の最中に逮捕されて、6ヶ月間、刑務所で過ごしました。平和活動家たちが少しでも抵抗の意思を示そうと言うものなら、すぐに連行拘束する状況です」
今年は群山米軍被害相談所のク・チュンソさんも来県しました。クさんは韓国のアメリカ軍再編計画について説明。土地の返還だと説明している計画が基地の拡張や機能強化につながっていると話しました。
ク・チュンソさん「既存のキャンプ・ハンフリーズの面積が151万坪でした。新しく造られる基地の面積は293万坪です。これは世界一大きな基地になると言われています」
またこんな信じられない事件が起きていたことも紹介しました。
クさん「下の方にウサギが死んでいる写真がありますが、2007年4月から2008年12月にかけて500匹のウサギが死ぬという事件がありました。その原因は戦闘機の騒音と言う結論が出ています」
沖縄と同様に広大なアメリカ軍基地を抱える韓国の人たち。彼らの話からは、アメリカ軍がアジア各地に軍事拠点を造り、沖縄と同じような被害をもたらしていることが見えてきます。
ソンさんは今、沖縄と済州島、そして尖閣問題に揺れる台湾が軍事化されるのではないかと心配しています。そしてアメリカ軍基地の問題は沖縄、韓国などが別々に考えるのではなく、アジアの国々が一緒になって取り組むべきだと指摘しているのです。
ソンさん「米軍基地が生きている怪物のように場所を移していっている。ある所から追い出しても、また別の所に移動して、何も解決になっていない。ですから沖縄の人たちは、米軍基地を沖縄から追い出せば終わりではなくて、どうやって怪物を封じ込めることができるのかを考えなければならないです」