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島の全面積のおよそ3分の1が基地という伊江島。住民たちは、アメリカ軍が環境レビューを発表した去年6月まで、オスプレイの訓練の実施について、一切知らされていませんでした。配備から4か月が経とうとしている今、伊江島を訪ねましたがその影響は私たちの想像以上でした。

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大矢記者「私たちはいま、ゲートのすぐ隣の畑からリポートしています。ごらんのようにオスプレイがフェンスのすぐ上、頭上にコンクリートブロックを吊り下げて訓練を続けています」「巨大なコンクリートブロックが右に左にと大きく揺れているのが確認できます。ここから見てもかなりの迫力です」

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コンクリートブロックには、重さ1トンに相当する2300ポンドの文字。この巨大なブロックを、兵士の手の平ほどの大きさのフックひとつで吊り下げ、住民たちの暮らしの中を飛び回る。オスプレイ配備から4か月。これが伊江島の日常と化しています。

西崎地区 儀間区長「(Q.すごいですね音が。)すごいですねー、やっぱりね、ヘリモードになると振動と音が伝わってくるんですね」

基地のすぐ隣、西崎地区では、この4か月の間に導入されたものがあるといいます。「騒音の実態を調べて欲しい」という住民の声に答え、防衛省が設置した測定器です。

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これが沖縄防衛局が公開した、去年11月のデータ。この地域の最高値は、100.8デシベルで、車のクラクションを間近で聞かされた状態です。さらに・・・

西崎地区 儀間区長「オスプレイに関しては低周波、やっぱり健康ということでその辺のところで私たちが知りたいのはその辺のところ」「地域の中には健康を害していらっしゃる方がいますので、難聴だったりとか」

頭痛や不眠などの原因とされる低周波の実態は、測定すらされていません。さらに問題は、滑走路を使用する際に巻き起こる粉塵。農作物に大きな影響をおよぼしています。しかし環境レビューには「オスプレイはハリアーパッドを使っても滑走路を使用しない」と書かれていました。

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大城村長「沖縄防衛局は昨年ここにスプリンクラーを設置して灌水をして地固めをして粉じんを飛ばさないようにします、という約束でしたが、米軍のみなさんが『訓練の支障をきたす』と。再度設計を変更せざるをえない」

払拭されない不安と、なし崩しにされていく約束。ところが今、島の中からは、こんな意外な声も聞こえ始めている‥‥

母親「(4か月前は)もう興味本位で「ああオスプレイなんだ」って子どもとあれするくらいで。今はもう見ても何とも思いはしないですけど。」

らっきょう畑のおじいさん「もうラジオみたいに聞いて、ゴロゴロゴロゴロしているのすぐ先に通るから、やっぱり聞いてもいいし、聞かないでもいいから、喧しいというのはあんまり気にしないね」

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きび畑のおじさん「みんな反対だよ、これは。(Q.でも難しいですか?)難しいよ、これは。これ以上反対してもどうしようもないでしょう、こういうのは。国の権力にはかなわんでしょう。国の力には負けるさ。権力には。

「反対」の声を無視し強行された配備。そして日々激化する訓練。「反対の気持ちは変わらないが、これ以上どうしていいのか分からない」という声も聞こえます。

さらに、この4ヶ月を振り返ると、県民は、不安と恐怖を感じる出来事に常に曝されてきました。島の人たちからはこんな声も‥‥

トラック男性「オスプレイもないほうがいいけど、防衛上抑止力のためには仕方ないんじゃない?いま尖閣列島でどたばたしてるでしょう?まぁ、しょうがないよ。」

オスプレイ反対を訴える村長でさえ、島の基地については、こう話している。

大城村長「世界の状況が悪化しているからね。沖縄はね、2000キロ、3000キロにおよぶ島があって、国土を守っているわけですよね。東にいけば北大東、南大東がある。南に行けば与那国町までね。そういうような日本の国土があるわけだから、離島の持つ力というのは大きいはずです。国を守る素材には繋がっていると、私はそう思っています。」

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<記者解説>

Q:目に見えて負担が増えているのはよく分かったが、僅か4ヶ月で「仕方がない」という声が多いのは驚いた。

オスプレイ反対を訴える村長が発言したことは、近頃の国の動向を象徴するものだと思う。伊江島のように人口が少ない離島だからこそ、国は国防の意味付けをしやすい。戦時中、伊江島にはいち早く日本軍の航空基地がつくられましたが、今後も国際情勢の動向によって、国がどう伊江島を利用するか、島の人たちがどう動かされるかが注意しなければならないところだと思います。

Q:ここ那覇でも頻繁にオスプレイが飛んでいますが、やはり実感として伊江島はひどいか?

取材中、オスプレイが基地のバリケードを大きくはみ出して、私たちがリポートしている畑の真上を飛行した時は、心臓がドクドクしました。しかし、一番驚いたのは、VTRにもあった粉塵の件です。私たちが取材をしている時も、突然、オスプレイが20メートルほどの高さの粉塵が巻き上げました。あまりに突然のことで、撮影が出来なかったのですが、まるで爆弾が爆発したような土埃でした。この「異常」が島の人々の「日常」として強いられていることこそ、異常だと感じます。

Q:測定器やスプリンクラーなど、防衛省が住民のためと言ってやることは、本質とずれている気がするが、環境レビューで使わないと言っていた滑走路を使っていることこそ、アメリカ軍に抗議するべきではないか。

この点について、これまでアメリカ軍や外務省沖縄事務局は、「環境レビューはあくまで環境への影響評価書であり、計画書ではない」と言って来た。しかし、自治体や住民から見たら、これから何が行われようとしているのか知る鍵は環境レビューしかない。評価書であるから、実際の訓練内容とは違うのは仕方がないという主張は許しがたいことです。また今回の取材を通じて、驚いたことは、基地をめぐる複雑な構造が出来上がっていたことです。この点は、明日の続編で詳しくお伝えします。