おととい、若年性認知症を患う男性が講演会を開きました。同じ病気で悩む人や医療関係者などおよそ300人の前で当事者の思いを語りました。
沖縄に来て覚えた挨拶で講演を始めた中村成信さん。若年性認知症を患っています。中村さんは7年前・56歳の時に万引きで逮捕されました。
中村成信さん「チョコレートを万引きしたっていうことで、自分ではそういう意識は全くないもので。警察を呼ぶってことだったんで『ぜひ呼んでほしい』と私もお願いしたんです。私が否認をするもんですから、警察は逮捕するってことになりまして。」
そしてその事件をきっかけに、中村さんの身に、病気の宣告と懲戒免職が一気に降りかかりました。
中村成信さん「三十何年間勤めた職場が、そのことで追われちゃったわけですから。それはもう自分にとっては本当にある意味で地獄に落とされた感覚でした。それと同時に(病院で)認知症だというふうに言われて。社会の一員としていたいという思いが非常に強いんですね。」
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ここからは取材した沼尻アナに入ってもらいます。そもそもこの若年性認知症はどんな病気なんですか?
若年性認知症というのは、18歳から64歳までの人の認知症のことを言いまして、2011年の厚労省の発表ですと、全国で3万7000人もの患者がいると言われています。
そもそも認知症には、それを引き起こす可能性のある病気が、脳血管障害やアルツハイマー病をはじめ80種類くらいあるのではないかと言われ、その症状も様々です。
多くの原因があることで自分の身近な人そして自分自身が、いつ認知症になってもおかしくないといえます。もしかしたら自分にも起こるかもしれないという気持ちで中村さんの思いをお聞きください。
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中村成信さん「認知症の人は何にもできないんだっていうふうにすぐ思われちゃう。それで雑に扱われるものですから本人としては面白くないんですね。イライラして怒ります。そうすると認知症の人はおっかない、怒る、ものを投げる、ぶつ、っていうふうに言われちゃうんです。でも本当はそうじゃないんです。その人も自分はこうしてほしいこうしたいんだっていうことを訴えたい気持ちを持っているんです。気持ちはいっぱいあるんです。」
中村成信さん「みなさん、ぜひその人の気持ちを良くくみ取っていただいてその人が何を望んでいるのか、どうしてほしいのかってことを見極めて助けていただきたいと思う。」
介護福祉を学ぶ10代女性「自分なんか若い同年代の人たちも、みんなで理解していくことが大切だなと思いました。」
20代女性「地域がこの病気を理解していくことでよりよい世の中になるんじゃないかなって思って、今回とても勉強になりました。」
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最初は認知症というと記憶が無くなるくらいの認識がなかったのですが、講演を聞いて何もできなくなるわけではないということを知りました。
これは中村さんの著書ですが、中村さんは自分の今ある記憶を残すため、そしてこの本を読んで、社会にこの病気を理解してほしいという思いを込めてこの本を書いたそうです。
今回の放送を見て、認知症について相談したいことがあると感じた方は、この講演を主催した「認知症の人と家族の会沖縄県支部準備会」でその相談を受け付けています。連絡先はこちらです。
認知症の人と家族の会・沖縄県支部準備会 琉球大学医学部精神看護学研究室内
(代表 金武・かねたけ)098-895-3331(内線2619)
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