わたしはピンダ(ヤギ)で有名な多良間島にきています。きょうはこの力強い角と同じような塩「くがにまーしゅ」を紹介します。
宮古島と石垣島のほぼ中央に位置する多良間島。自然豊かなこの海から作られている塩。4年前にステーションQでも紹介したその名も「くがにまーしゅ」。完全な天日干しで作るため、結晶がとても大きいのが特徴です。そこで塩作りをしているのがこの方、長岡秀則さん。
島で塩作りに励む長岡さんのもとを再び訪ねました。
青山「こんにちはいい天気ですね塩もよくかわくんじゃないですか」長岡さん「塩日和ですよ」
しかし、今年は少し様子が違います。
長岡さん「これが完全に壊れたやつです、台風で。7月に完成したばかりだった」
ことし相次いで沖縄をおそった台風で、製塩所が全壊。2ヶ月かけてようやく1/3を修復させましたが、まだ残骸が残り完全復興はこれからです
長岡さん「村民が手伝ってくれた。いやぁ何とも言えない、また作れると思ったら感無量です」
高知県出身の長岡さんは5年前に多良間島にやってきました。元報道カメラマンの仕事を活かし、新聞社の通信員として情報も発信。島の人たちとの触れ合いを大切にしています
多良間空港には宮古からの飛行機が1日2便。その時間になるとコーヒーショップが開店します。カウンターに立つのは長岡さんです。
人気なのはソルトコーヒー。このコーヒーの香りと長岡さんとのおしゃべりがお客さんの癒しの場所となっています。
長岡さん「たまに乗り遅れがあって、向こう(空港側)から怒ってくるよ、早く入れて下さいと」
『宮古行きのお客様、搭乗ゲートにお入りください』
島の特産品にもなっているこの塩を絶やさないためにも2ヶ月ぶりの塩作り再開です。
長岡さん「台風以来の塩作りです」
長岡さんの塩作りのこだわりは、全て自然の力を利用し、太陽エネルギーだけを使います。
青山「海水をそのまま(塩分濃度3.4%)」長岡さん「自然と結晶化させていくんです」青山「それは時間がかかりますね」
わたしも驚きました。日本全国の塩を見てきましたが、太陽の恵みを使用しているのはここだけではないでしょうか。
長岡さん「海水のミネラルをほとんど取り込む方法。手間暇もかかるし、時間もかかる。ぼくのこの作り方は塩を作るのではなく、塩を育ててるという感覚。だからあきらめる事はなかった。またやってやろうと」
サンゴ礁に囲まれた多良間島。豊かな表情を見せる小さな島の大自然の中で、長岡さんは夢に向かって再スタートです
長岡さん「甘くてまろやかな人間の体にいい塩を作りたい。海水と塩でアトピー治療をやりたい。できれば塩作りを島の人にも最終的に教えていきたい」
そんな「くがにまーしゅ」にあう塩レシピはやっぱりソルトコーヒー。一つまみ入れる事で美味しくなります。
長岡さんは医学の道を志していたため、点滴に食塩水が使われていることや、海水がアトピー治療に用いられていることなど塩の可能性に興味を持ち、健康な塩作りを目指しているそうです。
今の時期、塩が出来るのは約一カ月だそうです。今は販売できる塩がないが購入者はそれでも待っているとのことでした。