7月23日、強い抗議の中アメリカ軍の新型輸送機オスプレイが搬入された岩国基地。山口県知事も岩国市長も反対の姿勢ですがそれがいつまで沖縄と歩調を合わせていられるのか疑問視する声もあがっています。島袋記者のリポートです。
おととし5月に運用が始まった岩国基地の沖合滑走路。騒音軽減を目的に、2440メートルの滑走路を1キロ沖合に移すというものでしたが「負担軽減」とは名ばかりのものでした。
田村順玄・岩国市議会議員「住民に近いところの基地は返還されると思っていたんです。だけどとんでもない。両方とも使う。1.4倍に広がって、器そのものが広くなって大きくなった。機能強化ですね、完全な」
日本の三大銘橋の一つに数えられる錦帯橋や天然記念物の白蛇などで観光アピールしている岩国市。アメリカ軍基地の存在について、これまで大きな抵抗はありませんでしたが、今回は反発の声が広がっています。
市民たちを動かしたのは相次いだ事故。そしてアメリカ軍の環境レビューで、沖縄だけでなく、本州や四国でも超低空訓練飛行が実施されることが明らかになったためでした。しかし長年反基地運動をしてきた岩国市議会議員の田村さんは、今回公表された6つの低空飛行ルートの存在は16年も前からわかっていたことだと指摘します。
田村議員「(日本政府は)岩国とか三沢とか、岩国から厚木に移動する時に、たまたまそのコースを飛んでいるんだと。そういう詭弁を弄していた。しかし今回そのルートをちゃんとポイントを指定して、私たちが告発してきたことを全く違わないコースをブラウンルートだ、オレンジルートだという言い方で紹介して、三百数回の訓練をやりますということを発表したんです。これは確信犯」
今回グリーンリッジが接岸した岸壁。実はここも、沖合移設のどさくさに紛れて強襲揚陸艦や大型タンカーが接岸できるように整備されました。
田村議員「その岸壁ができるまでは、4キロ寄った所にある県の公共岸壁を使って(積み荷が)いつも入っていました。そこで私たち抗議行動していた。それは米軍にとって面倒なことだった。大変不便だった中で、そこに専用の岸壁を埋め立てと同時に作ったということです」
オスプレイ配備に不快感を表した福田市長。
福田良彦・岩国市長「地元の切実な思いを政府に聞き届けてもらえなかったのは非常に大きな憤りを感じる。またやりきれない思いまします」
しかし、これまで岩国市は、普天間基地の空中給油機12機をはじめ、厚木基地の艦載機59機を事実上受け入れるなど、基地の強化を黙認する代わりに振興策を引き出してきた経緯があります。
田村議員は山口県や岩国市がいつまで拳をあげ続けられるのかあやしいと指摘します。なぜなら12月には岩国基地に、日米共同使用の新しい空港が開港するのです。
田村議員「岩国市長にとっては、これはお願いにお願いを重ねてやっと実現したことなのです。市長が『この錦帯橋空港が大事だから、オスプレイの配備は一つ置いておこう』と心変わりをするのが怖い」
岩国も振興策と引き換えに基地を受け入れてきた自治体の一つです。しかしオスプレイ配備にはこれまでおとなしかった岩国市民も声をあげていて、反発のうねりは全国に広がりつつあります。
今のところ山口県知事も岩国市長も配備に後ろ向きですから、彼らが気持ちを変えないよう、沖縄県民と岩国市民、また全国の人たちが連携して日米両政府にプレッシャーをかけていくことが必要だと思います。