八重山地区の中学校でことしから使用する社会科の公民教科書の採択を巡り、石垣市と与那国町は育鵬社、竹富町は東京書籍を採択と地区で同じ教科書にしなければならないのに、統一できないままおよそ8ヵ月が経ちました。
文部科学省は、竹富町だけ無償配布の対象からはずしさらに町に自費での購入を迫りました。新学期を向かえ、教科書は生徒たちの配られましたが根本的な解決がなされない現状を取材しました。
中川文科大臣(当時)2011年10月26日「子供たちに支障がない形となれば竹富町自身の責任で解決してもうことになるでしょう。」
八重山地区の中学校で使用する公民教科書を巡り、文部科学省は去年、八重山地区の採択地区協議会が答申した育鵬社を採択せず、東京書籍を採択した竹富町を教科書の無償配布の対象から外しました。これを受けて竹富町教育委員会はことし2月、有志からの教科書の寄付を受けることを決めました。
そして迎えた新学期・・・ 竹富町のある中学校では、東京書籍の公民の教科書が生徒たちの手元に届きました。竹富町教育委員会の慶田盛教育長はそのときの様子について特別な思いで見ていたと話します。
慶田盛安三竹富町教育委員会教育長「学級で担任から、ちゃんと東京書籍の公民教科書を受け取って、子どもたちがうれしそうにしている姿を見ると、本当によかったなぁと」
しかし慶田盛教育長は、いまでも無償配布の対象外とした文部科学省の対応ついて納得できないと話します。
慶田盛安三竹富町教育委員会「子どもたちを見ているとねぇ、なぜ本当にこの子どもたちにペナルティーを科すということはどうなのかという思いになりましたねぇ」
慶田盛教育長は今後、国に無償配布を求めると話します。
慶田盛安三竹富町教育委員会教育長「無償措置というものの、立法趣旨、まず憲法26条からみて憲法の流れからいって、勿論、検定外の教科書を取るんだったら分かるよ」「検定された教科書を取っているわけだから、そこに無償というのは、絶対に大事、前提ですよ。」
一方、石垣市の中学校では答申通りに採択し無償で配布された育鵬社の教科書が生徒たち手元に届きました。しかし、石垣市や与那国町の生徒や保護者の一部が去年8月の協議会の答申は無効だとし、育鵬社ではなく東京書籍が配布されることを確認する裁判が起こしています。
先月、那覇地裁で仮処分の申し立てに対する決定がだされ結果は、生徒・保護者の敗訴。保護者らは、今後も裁判を続け「教科書の採択のあり方について正していきたい」としています。
一方、この状況について県の担当者は、こう話しています。
宮良学八重山教育事務所長「ひとつの公民の教科書が一緒にならないことが八重山地区は本当は一つであるべきはずなのが、そのならなかったことについて、教育事務所長として、大変残念に思っています」
一方、異なる教科書を使用することで、生徒たちの学習への影響を心配する声も聞かれます。
与那国のお母さん「内容が違ってくると今後、離島の子って石垣や本島に高校に行くので今後の事を考えるとちょっと怖いとうのはありますよね」
宮良学八重山教育事務所長「とくに三年生、高校受験がありますね。その高校受験にいわゆる不利がないように、子どもたち、とくに中学3年の子どもたちの社会科の指導内容、それが適切にまた充実を図れるように指導していく。それが一番の私たちの職責だと考えています。」
受験を含め、子どもたちへの影響はあってはならないことです。混乱が続く八重山地区の教育現場。根本的な問題はいまだ解決されないままです。