糸満市の平和祈念資料館では「沖縄戦」を学ぶだけでなく、来館者に平和の尊さや「幸せ」を実感して貰えるようなオリジナルグッズを企画、このほど試作品が販売されました。
グッズを手掛けた若手デザイナーたちの平和への想いをききました。山田記者です。
シーサーのガチャガチャ、ハンドベル、エコバッグ……。これらは全て沖縄県平和祈念資料館独自のピースメモリアルグッズの試作販売品です。
今まで資料館には独自のグッズがなく、館内のミュージアムショップにも去年までは国際通りや空港のお土産ショップとおなじものが並んでいました。
県では2年前から、資料館オリジナルのグッズを開発しようとピースメモリアルグッズプロジェクトを企画。県の雇用創出事業を利用しプロからアマチュアまでデザイナーを5人選出。グッズの開発に取り組んできました。
県平和祈念財団 上原謙治事務局長「よそでは売っていない資料館でしか買えない。全てが平和に通じるようなグッズということで。」
修学旅行生や海外旅行客まで年間およそ40万人あまりが訪れる資料館。凄惨な沖縄戦を後世に伝える、当時の貴重な資料が展示されています。
資料館ではこの場を「辛い」思いを体験るだけでは終わらせず、常に「平和」を意識するきっかけを作りたかったといいます。
県平和祈念財団 上原謙治事務局長「持ち帰ることによって、それを家に置いておく事によって資料館という場所も思い出すことが出来るでしょうし、また平和であるとか慰霊であるとかいつも手元で心に感じることが出来るんじゃないかなぁと。」
皆で平和の音楽を奏でよう、未来もずっと平和の音色が鳴り響くように、という思いから県産木材を使用して作られた「平和のベル」。これをデザインした神里さんは以前コールセンターに勤めていて商品開発は未経験でした。
神里さん「いや、大変でした。やったことない作業なので、周りの人に教えてもらったりとかそうゆう感じで。」
一方で、プロダクトデザインから販売まで出来る、という理由で事業に参加したウェブデザイナーの我如古さん。
我如古さん「今まではぜんぜんそんなこと(平和について)考えたことがなかったですね。この事業を通じてやっぱり毎日ゴハンを食べていたり生活していたり、健康で、とか身近に平和を感じるというか考えるようにはなりましたね。」
我如古さんは平和祈念資料館敷地内にある38体のシーサーに目を付けました。お守りフィギュア「平和の砦・シーサーコレクション」は、50個作った試作品が2週間で全て完売。
皆で楽しめるグッズを、というコンセプトで、バッグにも帽子にもなる「Fukuru」をデザインした照屋さん。祈念館で商品作りワークショップも開催されました。
照屋さん「これが、ボタンを付けることでここをこう……かばんに。また折りたたむと……、こうゆうかたちで帽子にもなるっていう。」
ワークショップの参加者「いいと思う、楽しいかなって。子供と一緒に来て。どうしても難しい言葉で考えてしまうもうちょっとできる事からでいいんだなぁって思える感じ。」
照屋さん「前向きな気持ちになれるものが必要だなぁと思って。資料館から帰った後も、普段使えるようなものって何だろうって考えたときにバッグ……とかだと普段もてるかなと。」
思わず手に取ってしまう魅力的なグッズを作ること。平和への願いが込められたグッズからは、思いが伝わっていきます。
修学旅行生「色んな意味があるのにこんなに可愛くできるのが凄いと思う。」
我如古さん「パッケージの裏の方に平和の火の意味とかそこから興味を持って、実際インターネットで平和の火ってどうゆう事から起きたんだろうって調べてくれたらいいのかなぁって。」
我如古さん「カラーキャンドルに火を灯すことによって日常生活の平和、今幸せだなぁ戦争なくて平和だなぁ、そうゆうのを再確認して欲しいというのがあるんです。」
紙飛行機「平和の翼・ペーパーグライダー」を作った神里さんは、平和記念公園のありかたについて考えるようになったそうです。
神里さん「慰霊とか暗いイメージがあってなかなか県内の人も来なかったりするんですけど、実際グライダーとかを飛ばして遊べるような楽しい場所なんだよっていうことも伝えたかった。ちょと平和を前向きに考えながら遊べるものとかも欲しいなぁと思って。」
平和の願いを皆で共有したい。沖縄から海を越えて平和発信してゆけるように。開発されたグッズにはそんな願いが込められているのです。
ピースメモリアルグッズは、有名デザイナーの作品でも高級品でもありませんが、それぞれのグッズは、手に取った人たちが「平和」への願いを持つきっかけになって欲しいという思いが込められています。
これらのグッズ、今は試作販売ですが、今後の商品化に向けて調整中ということです。