普天間基地の辺野古への移設に向けた環境影響評価書に対する2回目の審査会が27日、宜野湾市で開かれました。27日は初めて市民が意見を述べる機会が設けられました。市民から出された意見は「方法書からやり直せ」でした。
傍聴席が足りず、立ち見の人も出るほどの熱気に包まれた会場。制度上、住民意見を述べる機会はありませんが、県は27日の審査会で、1人あたり5分をめどに発言する時間を特別に設けました。
沖縄大学桜井教授は「評価書は影響は少ないという『アワセメント』に終始しております。論理性科学性が全く欠如しております」、元WWF花輪さんは「全体としてとにかく非科学的な内容になっていまして、科学的でも合理的でもない。これまでにやられた最低の環境アセスということができます」、名護市民の浦島さんは「このアセスは、アセス手続きの前提である地元合意もなく、何が何でも基地建設を行うという結論に合わせるためだけに強引な手法で結論を正当化するものであり、このようなアセスがまかり通るなら、日本のアセス制度は死に体となってしまうと思います」と話しました。
そして「住民意見」という手続きがなくなった評価書の段階で初めて明記されたオスプレイの配備や様々な変更点について、市民らは「究極の後出し」と厳しく非難しました。
うるま市の宜野座さんは「オスプレイという恐怖の配備を最終段階に出すことに怒りを持ちます」、金高望弁護士は「オスプレイについての影響については、住民が一度も意見を述べる機会が保障されないまま手続きが終わってしまいます。この不正義は明らかです」と話します。
市民の意見はほぼ満場一致で「方法書からやり直すべき」。そして、委員からも同調する意見が出てきました。
審査会の辻委員は「ちゃんとアセスをやろうという姿勢が疑われる。もちろんアセスを最初からやり直すというのは妥当な結論」と話しました。
審査会終了後、傍聴した人たちは「評価書の書いている内容というのが、先生たちも疑問に思っていることが多いというのが聞いてて実感しました」と話し、別の人は「やっぱり沖縄の問題なので、沖縄の声を聴く必要があると思う。住民の意見を消失させないでちゃんと反映した政治にしてほしいです」「建設ありき。これは皆さん一緒だと思う。これを県民みんなの力でどう覆すか。これが県民の課題だと思います」といった感想を述べていました。
来週火曜日には最後の審査会が開かれ、答申がまとめられることになっていますが、手続きとして「方法書からやり直せ」という答申を出せるのかどうか。前回、異例の「会長私見」で県民としての憤りをあらわにした宮城会長の心境は複雑なようです。
審査会の宮城会長は「住民の皆さんの切実な意見は、もう一度アセスのやり直しという形にならざるを得ないと思う。しかし、それが本当に手続き上できるのか、いろいろな私たち苦悶するところがある」と話します。
市民の意見はをどこまで反映されるのか。県は来週まとめられる答申を基に、2月20日の期限までに「知事意見」を国に提出します。