※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

普天間基地の辺野古への移設に向けた環境影響評価書。審査会の審議が進む中、評価書の作成に費やした費用が分かりました。そして、評価書作成業務に関する契約の大半を、2つの会社がほぼ独占していたことが分かりました。

沖縄防衛局が公表している契約書によりますと、2009年度から2011年度までの3年間に、評価書作成業務に関するとみられる契約は全部で15件。総額は36億円以上に上ります。

このうち、単独または共同で12件を受注したのが、東京に本社を置く、大手コンサルタント会社「いであ」と、うるま市に本社を置く「沖縄環境保全研究所」の2社。

「いであ」は、主にジュゴンやサンゴなど水域生物の調査を、「沖縄環境保全研究所」は陸域生物の調査を担当しました。なぜ、2社が集中して落札できたのか。環境学が専門の、沖縄大学の桜井教授は、最初に事前調査を行った業者が、有利に契約を得られるのではないかと指摘します。

沖縄大学・桜井教授は「今回のアセスをやってる会社が中心になって20億近いお金をもらってですね、すでに膨大なデータを積み上げてるわけですよ。ですから他の会社がですね、もうデータがないわけですので、アセスが始まってからの調査にですね、手を挙げられる状況にはない」と話します。

そして、一連の契約の予定価格に対する契約金額=落札率は平均で98.59%と、ほぼ上限いっぱいの数字が並んでいます。これについて桜井教授は「両者のコミュニケーションが非常に、ある意味良いということではないかなと思います。非常に異常だと思いますね」と話しました。

さらに、2社の内、「いであ」には防衛省の元職員が再就職、いわゆる天下りをしていることもわかりました。

「いであ」は、取材に対し、天下り社員がいることを認めた上で、「その社員はアセスに関する業務を担当していないので、評価書の内容には全く影響がない」と回答しました。

桜井教授は「こんなデータが出ながらどうしてこの結論?というのを我々は『アワスメント』『アワセメント』というんですけど」「もしその天下りがですね、そういう結論が先にある、こういう結論にしてくれという形でですねプレッシャーになってるとしたらですね、これはやはり天下りの問題は強く指摘されるべきだと思いますね」と話しています。

3年間で36億円という、巨費を投じて作成された評価書。作成に至るまでの経緯が明らかになったことで、根幹であるはずの民主性、科学性が大きく揺らぎ始めています。