きょうは、オスプレイにみられる日本とアメリカの環境評価の違いをお伝えします。
沖縄国際大学・砂川かおりさん「墜落事故の危険性、騒音、原野火災の危険性、野生動物の影響とか、いろいろ環境問題は懸念されます」
今回、提出された環境影響評価書。前の段階となる準備書からの最も大きな変更点は、MV-22オスプレイの配備が初めて明記されたことです。
評価書では、準備書段階で台形だった飛行ルートが長円形に変更。やや集落寄りとなったこと上に、オスプレイの運用により、騒音レベルが従来機種を上回ることが明らかになりました。
また、100ヘルツ以下の低周波音がもたらす心身への被害についても、名護市安部集落ではイライラや睡眠障害といった心理的影響や家具が揺れるといった物的影響の両方が出る可能性が示されています。
環境影響評価手続きの最終段階になって、後出しされたオスプレイの配備。しかも、その内容には不十分な点が多いとの声も。
沖縄国際大学で環境法を研究する砂川かおりさんとオスプレイに詳しいウェストン・ワッツさんは、アメリカが実施する調査との違いを指摘します。
ウェストン・ワッツさん「米国西海岸での調査では、オスプレイが配備される基地だけじゃなく、訓練地での影響も評価の対象になっています」
基地の建設予定地だけでなく、訓練先の場所の調査も行うアメリカ。一方、今回防衛省が提出した評価書では、辺野古からの移動が想定される東村高江や伊江島などについては、調査されていません。また、オスプレイは、開発段階からその安全性が疑問視されてきました。
アメリカの環境評価では、飛行実績が少ないオスプレイの事故率予測を補うため、類似機種のデータを記載。これまでのCH46と比べ、オスプレイの方が事故の危険性が高くなるだろうと指摘しています。
しかし、やはり今回政府が提出した評価書では、この点も明確にしていないのです。
一川前防衛大臣「評価書の中で、この問題はしっかり評価するということで作業を進めていきたい」
こう述べた一川前防衛大臣。しかし、今回の評価書はアメリカの環境評価と比べても不十分だと言わざるをえず、多くの懸念を残したままです。
3日間にわたって評価書の問題点をお伝えしました。
在沖海兵隊は、県内の反発を受け、オスプレイが環境に与える影響について、独自の調査・評価を行うとしていますが、これは、アメリカの国内法に基づくものではありません。
基地をつくるときは、厳しい調査が求められるアメリカの国内法に基づくアセスは適用せず、日本のアセスが行われ、実際に基地を運用する段階では、今度は日本の法律が及ばないアメリカの運用に任せるというのであれば、基地建設ありきという矛盾を指摘されても仕方ありません。