※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

食品から放射能を体内に取り込んでしまう「内部被ばく」。成長期の子どもたちにとってはその内部被ばくは特に深刻だといわれています。福島原発の事故から8か月。流通が盛んな現代ゆえの食に対する不安から、県内でも声を上げる母親たちがいます。秋山記者です。

News Photo

昨日、那覇市教育委員会に詰めかけた母親たち。表情はみな深刻です。

龍野さん「保護者の不安の声をきちんと届けること。教育委員会から子どもたちを守る取り組みを真摯にやっていっていただきたい」

今月4日、那覇市内の母親たちが教育委員会へ提出した要望書。食材の独自の放射能基準を設けることや関係者への勉強会の徹底など「給食への安全」を求めています。

News Photo

大友さん「子どもにとっては3食のうちの1食。かなり敏感に考えてらっしゃるお母さんがたが多い。見えない部分ですから、予防的な措置が一番大事だと思います」

そんな母親たちの不信感の原因・・・。

News Photo

小宮山大臣「許容できる線量を年間1ミリシーベルトに引き下げること」

厚生労働省は先月、年間の安全とされる被ばく量を5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに引き下げました。定まらない政府の見解。

News Photo

内部被ばくの権威である琉球大学の矢ヶ崎名誉教授は、国の暫定基準値について警鐘を鳴らしています。

矢ヶ崎名誉教授「今の国の基準値はものすごく大きくて人の命を守るためのものではない。今の少なくとも基準値の50分の1以下の値にしないと実質的な内部被ばく防止の効果は出てこない」

那覇市に住む。印鑰紀子さん。福島原発の事故をきっかけに、東京から避難してきました。

印鑰さん「ハンダマととうがんとゆしどうふとオクラ!県産のものがたくさんあるのでおいしくいただいています」

News Photo

心臓に疾患のある息子・りおくんに少しでも安全なものを食べさせたい、そんな思いから避難を決意しました。

印鑰さん「国の基準値はだめですね。基本的に0ベクレルの食材でと思う」

沖縄県産の野菜を中心に、肉や魚、乳製品に至るまで、産地や製造工場のチェックなど細心の注意を払っています。しかし、それでも不安は尽きません。

印鑰さん「給食はね〜。沖縄県は独自の基準を作ってもらえたらなと思います。実際難しい問題があると思うので、折り合いをつけるにはどうしたらいいか私もわからない」

目に見えない放射性物質が相手だけに、印鑰さんも戸惑いながら生活を送っているといいます。

News Photo

昨日の、那覇市の回答書。

野菜の産地をみても、県産や九州産ではまかないきれない部分も多くある一方で、那覇市では放射能検査の実態は把握できていないといいます。

大友さん「ぜひ前向きに、市民と市側と教育委員会が連携をとって、みなさんが納得できる姿勢、子どもを守る環境をつないでいって、土台をより強固なものにして次につなげていきたい」

今後も、母親たちの子どもを放射能から守るための活動は続きます。

こうした活動をされている保護者の多くは、原発事故の脅威を目の前にして必死で避難してきた方だということですが、目の前で危機感を感じないと行動しないのではなく、子どもを守るという観点は全国共通。今回は那覇市のケースを取材しましたが、県内の給食センターや栄養士さん方も勉強会を開いたり、献立を立て直したりと様々な苦労をされているところもあるようです。