大臣の沖縄詣でが続いています。就任後、初めて沖縄を訪れている一川防衛大臣は17日に仲井真知事と会談し、年内にも普天間基地の辺野古移設を前提とした環境影響評価書を県に提出する考えを示しました。
一川防衛大臣は「年内に影響評価書を提出できる、そういうい準備を進めさせていただいているということでございます」と県庁で仲井真知事と会談した一川防衛大臣はこう述べ、日米合意に基づいて普天間基地の辺野古移設を進める考えを示しました。
これに対して仲井真知事は、政権交代後県内移設に対する県民の反対が強まっていることをあげ「状況は随分変わっている」と述べ、改めて困難との見方を示しました。
一川防衛大臣は「年内の環境アセスメント法に基づく手続きというのは、我々としては一つの手続きの節目かなという感じはいたしております」と話しました。そして仲井真知事は会談後「どこまでちゃんと対応しているのかいないのか。オスプレイが入っているのかいないのかも含めて、きちっとした評価書になってなければ終わりません。ぐるぐる回転しますから」と話しました。
このあと、一川防衛大臣は普天間基地やその周辺地区などを相次いで視察しました。はじめに沖縄防衛局の田中聡局長の案内で基地を望む嘉数高台を訪れた一川大臣。宜野湾市のおよそ4分の1を占めるという基地の面積や2004年にヘリ墜落事故のあった沖国大のキャンパスの位置などを確認していました。
また基地周辺で、深夜・早朝の航空機騒音が最も激しいことで知られる大謝名地区を訪れました。住民は「ジェット機が降りてってまた回って来て。これがよくある」と訴えました。
住民からの騒音被害の訴えを受け、一川大臣は「アメリカ側に現状をしっかり伝えたい」と述べました。このあと、一川大臣は、嘉手納基地の視察も行いました。
一川大臣はさらに、普天間基地の移設予定地に隣接するキャンプシュワブを訪れ、沖縄防衛局の田中局長から「よく話題になるジュゴンでございますが、良い藻場がこの辺りにあるようでして。嘉陽地区というんですが」と埋め立て予定地の説明を受けました。
この後、一川大臣は地元の3行政区の区長との意見交換に臨み、辺野古への移設に理解を求めました。
辺野古区の大城辺野古区長は「こういうものが来るという場合には、条件を付して、区民の生活が豊かにならなければダメだと。安全な生活環境がなければならないというようなお話はしましたけれども」と話しました。
駆け足で県内各地を回った一川防衛大臣ですが、中でも注目されたのが辺野古移設に反対する名護市の稲嶺市長との会談でした。どんな内容だったのでしょうか?名護市から中継です。
稲嶺市長との会談は午後5時前からおよそ20分程度行われました。一川大臣側は沖縄防衛局の真部前局長や田中局長など10人以上を従えての訪問でしたが、稲嶺市長は緊張しながらも自身の思いをしっかり伝えていました。
会談の冒頭「不安や心配など案じるのが先で、素直にようこそとは言えない」と切り出した稲嶺市長。普天間基地基地の辺野古移設については「県民の反発の声は日に日に高まっている辺野古移設を白紙に戻してほしい」と訴えました。
これに対して一川大臣は「北部の住民に明るい展望が見出せるような振興発展を取り組ませていただきたい」などと振興策を引き合いに出し、辺野古移設に理解を求めていました。
これまで移設ありきの話し合いには応じないとしてきた稲嶺市長が、名護市で防衛大臣と会談するのは初めて。大臣より先に現状を切り出した稲嶺市長、そこにはこんな思いがあったようです。
稲嶺市長は「やはり先に、こちらの方からしっかりと伝えなきゃいけない、その必要性がある。そのために今日は席をもうけた」と話しました。
県外移設を訴える仲井真知事や稲嶺市長のスタンスは変わりませんが、辺野古移設を進めたい政府の働きかけは強さをましています。
一川大臣に続き、18日には玄葉外務大臣がやってくるほか、11月には移設を容認派と近い前原政調会長も名護市を訪れる予定で、年末にかけて名護市はまたこの問題で揺さぶられることになりそうです。