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沖縄で設置準備が進められてきた科学技術大学院大学の開校が来月に迫りました。学校法人としての設置認可申請も終わり、あとは開学を待つばかりとなったんですが、一体どんな研究が行われる施設なのでしょうか。直前の学内の様子を取材しました。

恩納村に整備が進められてきた、沖縄科学技術研究基盤整備機構、OIST。来月からは、名前がこのように変わります。

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「大学院大学」とは、学部のない、大学院のみを持つ大学で、高度な研究機関でもあります。開学前ですが、すでに一部の研究室では先行して研究が始まっています。

草柳記者「こちらは現在開発中のロボットです。自分で目的物を探し出してその場まで行くことができるんですね。これが目的物、これを動かして、さぁいけ!・・・このように自分で動き始めます」

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こちらのロボットは、バッテリーが少なくなると自分で電池を探して充電をしに行きます。また仲間と情報交換して、ソフトを進化させていきます。つまり、自分で学習するロボットなんです。

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銅谷賢治博士「どういう風にすればなるべく速やかに電池パックに近づいていくのか、あるいはどういう風にすればほかのロボットとうまく赤外線通信をしてソフトウェアのコピーをできるようになるかというのを、試行錯誤しながらだんだん学習していってるわけなんです」

ロボットがどのように学習するかを分析することで、実は人間の脳の働きの解析にも役立つと考えられています。

銅谷博士「人の行動障害とか精神障害とかを理解するうえで意外と役に立つのではないかと思ってるんですね」

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科学技術大学院大学の最大の特徴は、国際色豊かな研究環境です。様々な専門分野を持つ世界トップクラスの研究者が、ここ沖縄で最先端の研究に臨むことになります。

開学時の研究員200人のうち、80人は外国人で、学内の公用語は、もちろん英語。1つの研究科の中に40近いユニットが設けられ、学技術分野の様々な研究が同時進行で進められます。

そして、早速、研究成果を発表したユニットもあります。こちらは、「ゼブラフィッシュ」という小さな魚を飼育し、その目を研究しているユニットです。水槽の数は4600個、40万匹の魚が泳ぐ、世界有数規模の研究施設です。

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去年、ヒトの白内障の治療に繋がるかもしれない遺伝子が見つかり、イギリスの科学雑誌に掲載されました。

さらに、世界初の快挙と報じられた研究が、サンゴのゲノム=遺伝情報の解読です。

解読の結果、サンゴはおよそ5億年前から存在していたことや、有害な紫外線から体を守るための物質をサンゴ自らが生成している可能性があることなどが明らかになりました。

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佐藤教授「このラボを立ち上げたときからみんなに言ってることは日本でもあるいは世界でも、どこかのラボでもできるようなことはしないと」

ゲノム解読チームには、地元出身の若手研究者もいます。新里博士は、那覇市出身。オーストラリアの大学を経て、OISTに入りました。

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新里博士「必要なものがすぐに手に入りかつそれを使って世界最先端の研究をすることが可能になるというところがまずいいところですね。もちろん僕はサンゴの研究者なので、すぐそこにサンゴがいっぱいあるというのも、もちろんこれも当然僕としてもメリットですね」

佐藤教授のチームでは、現在、サンゴと共生する褐虫藻のゲノム解読を行っていて、早ければ来年にも研究成果が発表されます。

佐藤教授「サンゴのゲノム解読というのはほんとにチャレンジで、たぶん世界ではどこもできなかったことにチャレンジしてまずできてますので、次は褐虫藻もまあ何とかなるとは思ってますけども」

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大学では、こうした基礎研究の成果を、民間企業と連携して、世に送り出すところまで視野に入れています。

広報担当 ニール・コールダー氏「沖縄や日本本土、また世界中の企業と連携していくことも考えています。研究者たちの素晴らしいアイデアと、企業側の具体的需要をマッチさせて、新たな技術や新たな産業を生み出すことができるでしょう。」

世界最高の頭脳と、年間100億円以上の豊富な予算が注がれる「大学院大学」は、沖縄・そして世界の未来にどんな効果をもたらすのか。開学は来月19日の予定です。

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