来年の春、統廃合が決まった全校児童わずか10人のうるま市立宮城小学校の子どもたちが稲作りに取り組んでいます。そこには、どんな思いがあるのでしょうか。
6年・吉中ありささん「私たちにとって宮城小学校、中学校の運動会は最後なので、がんばってきた練習をいかしましょう」
うるま市立宮城小学校、宮城中学校秋の大運動会です。創立117年を迎えた宮城小学校。来年からは伊計島、平安座島、浜比嘉島の4地域の学校がひとつになるため、宮城小学校としては最後の運動会となりました。
宮城小学校最後の児童となる10人の子どもたち。この最後の運動会の他にも島の豊かな自然を心に刻みたいと、おじいちゃんやおばあちゃんたちが育ったころの昔の田んぼを学校内に再現することにしました。
5年・山城一稀くん「お~気持ちいいです」
田んぼ作りの資金は、環境教育を支援する企業の助成金を活用、職員や地域の人の協力を得て小さな田んぼを校内に作りました。
桃原広隆教諭「昔あった宮城島を、子どもたちに少しでも小さいですが、体験させてあげたいという願い」
田植えをするのは、みんなこれが初めてです
3年・北野暉士くん「(かぶせるのではなくブシュッとさしてごらん)オッケー。(あつしくんどんな気持ちで植えた?)う~んお米の気分」
あれから2カ月…。稲は1年生の子たちと、肩を並べるほどまでに成長しています。そして子どもたちが手にしているのはクロメダカ。
1年・山城宗征くん「もっと大きくな~れ。およいだ~」
そして田んぼにメダカを放しました。このメダカの放流は宮城小10人の子どもたちが最もやりたかったことです。
桃原広隆教諭「お米を作るのが目的だった?(いいえ)ご飯食べるのが目的だった?(いいえ)おじいちゃんおばあちゃんが言っていたでしょ。昔、宮城島には田んぼがたくさんあって、そこにはメダカもたくさんいたと」
田んぼに放したメダカは4月から5,6年生を中心に卵からふ化させて増やしていったものです。毎朝水槽から卵を探し出しスポイトで採取、それでもふ化するのはほんのわずかです。
5年・北野愛弓さん「卵が白くなって死んでしまうときがあるので、死なないように日陰にあてたり工夫してます」
さてみんなで育てたメダカは元気に泳いでるのでしょうか?いました!稲の周りをゆうゆうと泳いでいます。さらに子どもたちは水の中の小さな変化を次々と発見。
「オタマジャクシ!足が生えてる~。気持ちわるい~」「ヤゴつかんだ~」「ヤゴのぬけがら!」
5年・北野愛弓さん「とても生き物が増えて、稲もいっぱい育っている」
2年・伊禮門龍馬くん「オタマジャクシの大きさが変わって、足とかついてかわいいです」
「泳いでる~」「これが増えるのか減るのか楽しみだね」
小さな田んぼの中で、少しづつお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんの育った頃の昔の宮城島が戻ってきています。
6年・新屋結梨さん「宮城島にはまだまだいっぱい生き物がいたと思うから、それも探していきたい」
桃原広隆教諭「授業を通して島の豊かな自然、それを守りたいという心も出てきている。この取り組みを通してさらに強くなったと感じる」
子どもたちが楽しみにしている稲刈りは、来月中旬ごろです。
稲刈り後も田んぼではメダカを飼育して、宮城島の川などに戻していくということです。
田んぼは自然が凝縮された1つの世界ですから、そこから学ぶことはたくさんあると思います。この学んだことが子どもたちの誇りとなれば宮城島の自然はいつまでも続くと思います。