ニューヨークを訪れている野田総理は、日本時間の9月22日未明、オバマ大統領と初めて会談し、日米合意に基づき、普天間基地の辺野古移設を進める考えを示しました。
野田総理はワシントンで「今回の震災へのご支援通じて、私は日米同盟は日本外交の基軸だという信念を持っています。その信念が改めて揺るぎない信念になりました」と述べました。
政権の最優先課題として、震災の復興と福島第一原発事故の収束を掲げた野田総理。その一方で普天間基地の移設問題については「沖縄の理解を得られるよう全力を尽くす」と従来の立場を繰り返すことに留まりました。
一方、オバマ大統領からは「普天間問題については結果を出す時が来ている」とこれまでにない強い調子で計画の進展を迫られたということです。
会談を終えた野田総理は「従来通り、日米合意にのっとって、沖縄の皆様のご理解いただけるように全力を尽くしていく。個人的な信頼関係を築く良いスタートが切れた」と話しました。
民主党政権になって3人目の総理に対し、アメリカの期待が高いとは言えない中、何とか信頼関係を築きたいという野田総理の姿勢が表れた今回の会談。その一方で、県外移設を訴える知事をはじめ、沖縄の声が置き去りになっている印象は否めません。
日米首脳会談で県民は 「県民の民意をないがしろにする」と反発
日米首脳会談で「沖縄を説得する」と野田総理がオバマ大統領に約束する形となったことで、県内の反応です。
稲嶺進名護市長は「沖縄ではとても受け入れられる状況にはありませんと(知事が)訴えている一方で、日米トップ同士が(辺野古移設を)確認するのは信じられない。理解できない」と批判しました。
ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「私たちの県民の民意をないがしろにしていく民主党政権。本当の民主主義とは何なのか。主権者は国民であって、政治家ではありません」と厳しく批判しました。
また那覇市で県民は「アメリカに沖縄を説得するとか、沖縄の人は絶対反対だからできないと思います」と話し、別の人は「(説得)するのはいいけど、どれだけ時間かかるかわからないですから」と話し、また別の男性は「沖縄のことは何もわかってない。総理が代わっても、今の総理では(解決は)無理。早く代えたほうがいいだろう」と批判しました。
仲井真知事が9月20日、ワシントンの有識者の集まりで県外移設を訴えたあと、野田総理は仲井真知事の訴えを無視するかのように、辺野古ありきの日米合意を追認するだけでした。やはり今度の総理も沖縄に真剣に向き合う考えはないように思われます。