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八重山地区の中学校で来年度から使われる教科書の選定を巡る問題は大きな波紋を広げています。八重山採択地区協議会は8月23日、教師たちから反対の声があがっている育鵬社の公民の教科書を選びました。
4年に1度行われる教科書の選定作業。八重山地区では学校関係者が教科書を選ぶ過程から外されたため、その背景に教師たちから反対の声が強い、「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社と自由社の教科書を採択する意図があるのではないかと警戒が強まっていました。
教科書を選ぶ作業は今回から規約が変えられ、石垣市と与那国町、竹富町の教育長と、名前が公表されない教育委員など8人が無記名で行いました。その結果、歴史は帝国書籍の教科書が選ばれましたが、公民は、5対3の多数決で育鵬社の教科書が選ばれています。
一方、県内では各種団体が抗議の声明を発表しました。自由法曹団は県庁で記者会見を開き、新垣勉弁護士が「憲法改正の意図を込めた教科書を教育現場に持ち込んだとい言うことで非常に重大な問題を含んでいます。
今回の政治的意図に基づく選定手続きは、教育現場に非常に重要な問題を持ち込んだと言わざるをえない」と厳しく批判しました。
石垣市内では八重山地区の市民や教職員でつくる住民の会が会見を開き、「協議会の選定作業は密室で行なわれ、住民への理解や説明責任に果たしていない」と批判。今回の選定作業の結果がそれぞれの教育委員会に答申されても、採択しないように求めました。
住民の会の仲山忠亨共同代表は「五、六十年前にさかのぼるような状況であります。本当にこのような教科書で教えられた子どもたちはどうなるのか。やはりこの教科書は子どもたちに与えてはならないと」抗議しました。