自分のスキルやアイデアを生かし、特色ある商品を開発したり、あらたな店や会社を立ちあげたいという希望を持っている方は多いのではないでしょうか。
県のサポート事業などをうまく活用しながら海外でのレストラン出店を成功させ、今月、故郷に2号店をオープンした若者を、取材しました。
北谷町に今月オープンした創作寿司の店。開店前のプレパーティーには多くの人が訪れ、若い店長のスタートを祝いました。
店長の渡久地隆道さん。まだ24歳です。実は渡久地さんは2009年に、ミャンマーで創作寿司の店を開き、そこで成功をおさめました。この北谷店は海外店の、いうなれば逆輸入。
高校のころ、アメリカ・カリフォルニアで寿司屋を営む知人の家で創作寿司に出会った渡久地さん。アイデアひとつでオリジナル料理が生み出せることに興味をひかれました。
渡久地さん「寿司って何でもアリなんだなって。特に創作寿司は必ずこれっ、てのがないので、それで寿司に興味をもって自分でも色んなのを作ってみたいと思って」
高校を卒業して3年の間、カリフォルニアで寿司の修行に励んだ渡久地さん。その後、沖縄にもどった彼は、家族旅行で訪れたミャンマーに魅力を感じたといいます。
渡久地さん「今後、ミャンマーは伸びてくるって言われていて、そのミャンマーを調べるためにまず何をしたらいいのかと。自分は寿司をやっていたのでお寿司屋さんをやって、そこのお客さんから情報を得られるような場所にしたらいいんじゃないかということで」
ミャンマーでの創作寿司の店は開店から口コミで広がり、連日盛況となりました。渡久地さんが披露するエイサー、そして沖縄料理や泡盛なども、ミャンマーの多くの人たちに好評を得たといいます。そしてミャンマー店メニューのオリジナル寿司には、ミャンマーの都市や州などの地名を付けたところ、これが現地で受けました。
渡久地さん「これは、具志堅ロールです」
創作寿司は、どんな名前をつけるかも人気の秘訣。ここ北谷店では、地名の代わりに沖縄の名字をつけました。渡久地さんのアイデアを生かしつつ、ミャンマーでの店づくりの具体的なアドバイスをしたのが、県でした。
渡久地さんがサポートを受けたのは県の人材育成事業の一つ。起業や商品開発を考えている中小企業や個人に助成金の申請の仕方や、企業同士のマッチングなど、そのノウハウを伝える事業です。
県商工労働部 産業政策課・玉那覇さん「彼の場合は遠隔地にいたものですから直接講義とかは受けられなかったんで色んな資料を送ったり、現地に行ったときにアドバイスしたり、沖縄に来た時には”こんな企業があります”というようなマッチングを支援したりですね」
渡久地さん「ミャンマーでお店をやりたいと思うんです、って話したら”琉球って名前を使うなら県のマークを使ったら”とか」「沖縄料理を入れたらとかお酒も泡盛とか、琉球ってやるならせっかくだから沖縄を紹介できるようなお店作りにしたらって」
県は店づくりをサポートしながら、泡盛などの県産品を海外に売り出す貿易の足がかりを、渡久地さんのような人に期待しています。
玉那覇さん「今後は海外に市場を展開していかないといけない、そんな時に相手先国の受け皿作りがどうしても必要。そういう時に渡久地さんのような方がどんどん増えてくれたり彼自身がお店を海外で展開すれば県産品もどんどん広がっていくのが予想できます」
ミャンマー店のノウハウをいかしオープンした北谷店。初日は友人や家族、同級生が駆け付け、渡久地さんのお寿司を味わいました。
お客さん「いやあ、創作寿司ということでやはり珍しい感じがして」
同級生「はい、とっても嬉しいです。沖縄を広めようとしてくれてるところとか、とっても応援したいです」
自分のスキルをいかし、海外へと羽ばたいた渡久地さん。この経験をもとに、さらなる夢へと思いをはせます。
渡久地さん「今後は沖縄と海外をつないでいく貿易にも興味がありますレストランだけでなく、他の国との貿易ができたらと思っています」
スキルを持っていたり、色んなアイデアがあるのに活かし方が分からないとか、ネットワークやノウハウが足りずに起業や商品化ができない、という人がいたとしたらもったいないですよね。
確かに、ビジネスはチャンスを生かすための手法や検証が必要ですから、そこをうまくサポートする県の事業は、もっとたくさんの人に利用してほしいですよね。