沖縄では、夏の定番となっているかりゆしウェア。一時は製造枚数も右肩下がりになっていましたが、ことしは県外での需要も高まっていて、販路拡大に光が見えてきました。
こちらは糸満市にある、かりゆしウェアを製造している工場。中を覗くと、ミシンの音が響き、工場はフル稼働状態です。
日進商会・大城社長「状況としては県内もとよりですから、これに加えて、県外からも注文がね、どんどん来るということですので、フル稼働しているというのが現状ですね」
この工場では、機械も新しく導入し、今期は例年の同じ時期の3倍ほど生産する見込みだといいます。
日進商会・大城社長「ほとんど県内だけだったら、父の日ですか、6月後半でほとんど終わりなんですけども、県外は7月8月も売れますのでね」
盛況を迎えている工場ですが、おととしまで、かりゆしウェアの市場は飽和状態となっていました。
県商工振興課・登川課長「かりゆしウェアは、一番最初の爆発的人気が出たのは、2000年のサミットですね。サミットに各国首相にかりゆしウェを着けていただきました。」「平成18年から若干我々としても10枚、十数枚持っているという形で、個人在庫できたものですから若干落ち着いたってのがこの最近ですね」
その状況に県や製造会社は、有名デザイナーとの商品開発やファッションショーを開くなどして、若者でも好んで着られるようなデザイン性や細身の形状などの工夫を取り入れたり、また県外へのPRの方法にも変化が見られます。
全国から公募して行ったデザインコンテストで入賞した作品の最終審査を、東京ガールズコレクションの会場で行ったのです。これらのPRの結果、去年の製造枚数は31万5000枚と、2年ぶりに30万枚を超えました。
そしてことし環境省が、軽装での出勤などを勧める「スーパークールビズ」を打ち出したため、かりゆしウェアの販路拡大に大きなチャンスが訪れています。
日進商会・大城社長「絶好のね、県外にね、広めるのに、認知させるのに、絶好のチャンスだと思っています。」「百貨店等々でね、今までは、売り込みで苦戦していたけども、今では向こうからね、電話かかって、面白いから取り組んでほしいと」
県商工振興課・登川課長「スーパークールビズは確かに大きく沖縄県のかりゆしウェアを後押ししています。」「ことし23年度のほうは、6月末の累計ですけども、昨年に比べて約20パーセント増で推移しています。」「例えば会社の方で、沖縄のかりゆしウェアを会社のユニフォームとして採用したいというかたちでの注文が相当程度舞い込んでいるというふうに聞いています。」
販売店では、出張で県外から訪れた客が、かりゆしを購入していくといいます。
沖縄三越・川満さん「やっぱり節電の、社内が節電ということで、ちょっとクールビズ涼しいものをということで、かりゆしウェアを見にこられてました。」
県外へ販路拡大の足がかりを得たかりゆしウェア。課題となっているのが、安価なポロシャツなどとの差別化です。
日進商会・大城社長「安くてあれだったらいいでしょうということもあるんだけども、しかし差別するためには、やはり技術力とか」「高品質でもって勝負していくという以外なのかなと思っています」
県商工振興課・登川課長「確かにかりゆしウェアは値段的には、中国で作られたポロシャツに値段で勝負はしません。」「やはり品質だと思います。」「かりゆしウェアの勝負としては、沖縄の雰囲気、癒しの雰囲気を持ったデザイン性のあるブランドとして売っていくことが大事だと思っています。」
県外への販路拡大へ絶好のチャンスを得たかりゆしウェア。今後、販路拡大に向けて高品質で沖縄らしいというブランドの確立を目指しますが、県外の嗜好に合わせたデザインとかりゆしウェアの原点である沖縄らしさにどう折り合いつけて、ブランドを確立していくのか。県外での定着の鍵を握る勝負の年になりそうです。