困窮家庭の子ども達を支援するNPO「エンカレッジ」。子どもの世界から大人の世界を変えたい。活動に取り組む塾の先生の思いに共感の輪が広がっています。
先月下旬、沖縄市で開かれた教育講演会。テレビでも活躍する有名な教育評論家を招いたのは市内で学習塾を経営する坂晴紀さんです
坂晴紀さん「(自分の)家庭環境や経済環境にすごく不安を感じていた子が、勉強することによって、何かの希望を持つようになったんでしょうね。すごく感謝する言葉があります」
坂さんは4年前、NPO法人「エンカレッジ」を立ち上げ、経済的な理由で塾に通えない児童生徒を対象に、無料で塾に受け入れる活動をしています。坂さんが「エンカレッジ」の活動をする理由。それは−。
坂さん「夢や希望を持つことはやっぱり大人でもワクワクしますし、子ども達にとっても夢・希望を持つことはすごく大切」「すごいね~。(ありがとうございます)初めてか?こんな点数取ったの?」
支援する子ども達の中には、学校の中間テストで500満点のうち495点を取る子も現れました。そんなエンカレッジの活動が今、広がりを見せはじめています。
今年4月、エンカレッジに新たな動きがありました。これまでは沖縄市だけの活動でしたが、沖縄県からの要請を受けて嘉手納町に開校しました。
坂さん「社会の成績上がったって?(上がりました)何点だった?(82点)すごいさ。(すごいびっくりしました)その前は何点だった」
沖縄市での活動とは違い「生活保護世帯」の子ども達だけを対象に、もちろん無料で受け入れています。嘉手納町、北谷町、読谷村の3町村の子ども達30人が通っています。
坂さん「保護世帯の子達をこういった形で学習支援をして、負の連鎖を無くしていくために、教育からしっかりやっていかなければというような話が(県から)ありました」
男の子「エンカレッジのおかげで、行きたい高校とかもしっかり見定められた」
この塾に通う中学3年生の男子生徒。母と妹二人、4人家族の長男です。
男の子の母「周りのお友だちとか、同級生とかは(塾に)行っている子が多かったものだから」
お母さんは長男が小学校5年生の頃に精神的に不安定になり、生活保護を申請しました。
男の子の母「一番(私の)キツイ時を見ているので彼(息子)は」
男の子「最初の頃は本当にひどくて、一緒に生活しているんですけどバラバラみたいな」
長男は、父親代わりで下の妹の日曜参観に出ることもありました。
男の子「ただで行けると聞いていたので、だったら行きたい思いました。工業高校に行って、卒業したら仕事に就いて働きたいなっていう(夢が)ある。勉強も苦手だったんですけど、今では少しずつですけど、楽しくなってきて」
男の子の母「今の生活をバネにして、普通の生活をしてほしいですね。それだけかな今は」
坂さん「保護世帯の子ですけど、大人になってまた保護世帯にならないようにすることは僕は大切だと思います。負の連鎖とか考えると、やっぱり教育からやっていかないといけない」
「負の連鎖」を断ち切るめには、教育の力が必要だと坂さんは考えています。
坂さん「教育はやっぱり“大人の関わり力”だと思っていますので、大人が関わることがすごく大切」
エンカレッジの活動は、現在、様々な問い合わせもあって、今後県内の他の自治体での取り組みも始まりそうです。
大人が関わり、子どもたちの居場所作りにもなっているようで。その子どもが成長し社会をより良くする。負の連鎖ではなく正の連鎖にエンカレッジが取り組んでいます。