月曜日からお伝えしてきた語り継ぐ沖縄戦2011。最終日のきょうは、ある人物の体験を基に、描かれた沖縄芝居で沖縄の戦後を考えます。
満面な笑みを見せる子どもたち、民家の前でアメリカ兵から食事の配給を待つ住民。収容所には歌や踊りなどの娯楽を求め、大勢の人たちが集まりました。これは、終戦直後の沖縄です。
そんな経験を7歳のときに味わった上原直彦さん。自身の体験を織り交ぜた「沖縄芝居 九年母の木の下で」の脚本を手がけました。
上原直彦さん「あの九年母というのは、僕にとっては少年の頃の原風景みたいなもの」
この舞台に出演するのは八木政男さんや北村三郎さんなど、大御所のベテラン俳優から素人の子どもたちまで総勢33人です。
当時のことを思い出しながら演技を指導する直彦さん。子どもたちは舞台を通して、平和の尊さだけでなく、当時の沖縄の人の複雑な心を感じ取っていました。
子ども「アメリカと戦って、アメリカの人から配給してもらって、それをやっぱり受け取れない人とか、それをうれしく思う人とかいたりする場面が残っています」
『戦争って死ぬのも地獄生きるのも地獄なのよ』『戦に負けたら敵の兵隊の吸殻まで吸わなければいけないのか、屈辱的だな』
アメリカ兵に身を売る女や戦果をあげる男、戦争で家族を失って悲嘆にくれてる者。どん底を見たからこそ、上を向いて明るく生きようとしている人たちを描いています。
吉田妙子さん「面白おかしくやっているけど、本当は(戦争)怖いんですよ。弾が飛ぶのも覚えているし、いろいろ覚えていますから大変です。だからそういうのを知ってもらいたいですね」
八木政男さん「未来のあるこどもたちと一緒に舞台に立てるというのは最高です」
上原直彦さん「この芝居でも最終的に言いたいのは、明日に向かって頑張れというメッセージが送れたらいい」
どんなに苦しく厳しい状況でも、前を向いて「生きる」ことの大切さを舞台から感じてほしい。それが戦争を体験したベテラン俳優たちの共通の思いです。