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何が何でも段取り通りに進めるという政府の姿勢に知事は絵空事という言葉で反発です。

北沢防衛大臣は13日に仲井真知事と会談し、普天間基地の代わりの施設として名護市辺野古にV字形の2本の滑走路を造る方針を正式に伝えました。

県庁を訪れた北沢防衛大臣は6月21日に予定している2プラス2、日米安全保障協議委員会で普天間基地に代わる施設として名護市辺野古にV字形の2本の滑走路を造る案でアメリカと合意する方針を正式に伝えました。

北沢大臣は「日本政府とすれば騒音その他、色々勘案した結果、V字形で調整したい」と話しました。これに対し仲井真知事は、辺野古への移設は県民の合意が得られないとして「極めて遺憾であるとしか申し上げようがない。そういう現実性が乏しいものに何で決めていくのか、言葉は悪いが『絵空事』」と述べました。

また仲井真知事は、普天間基地へのオスプレイの配備について「過去に事故を起こした履歴が県民の記憶にも鮮明に残っている」と海外での事故について述べ、受け入れられない考えを示しましたが、北沢防衛大臣は「改良を重ねている」などと主張し、両者の意見は平行線に終わりました。

名護市の稲嶺市長は「早く決めないといかんのじゃないという、別の迫り方できていると思うのですが、そういう政府のやり方に県民は憤っています」と不快感を示しました。

一方、宜野湾市の安里市長は「普天間飛行場の今の現状にさらに危険を助長するオスプレイの配備は断固として受け入れられない」と話しました。

一方、13日午前、宜野湾市役所前でオスプレイ配備に抗議する座り込みが行われました。隣接する普天間基地では、アメリカ軍がヘリコプターの離着陸訓練をするなか、安里市長をはじめ市民らおよそ200人が参加しました。

参加者は「普天間飛行場の危険性の除去を求めている矢先に、オスプレイの配置は正に言語道断であり、認められない」と話し、また別の参加者は「アメリカのほうからこういう通達があったという『お知らせ』で知らせること自体、本当にいかがなもんかなという怒りを感じる」、さらに別の参加者は「本当に市民の人の気持ちをわかっているのか、不満みたいなものはあります」と話しました。

座り込みは午後5時まで続き安里市長と市民らは普天間基地の即時閉鎖を訴えていました。

基地担当の島袋記者に聞きます。辺野古へのV字形滑走路の建設、そして危険性が心配されているオスプレイの配備など、政府が伝えた方針はどれも沖縄にとってはのめないものばかりですよね。

島袋記者「いずれの方針に対しても、仲井真知事からは反対され、北沢大臣は『辺野古へのV字案』をのませるため必死に説得していたように見えました。その一つが、オスプレイの配備です。度々事故を起こし、危険性が高いと言われるオスプレイが住宅地のど真ん中にある普天間基地に配備されることに住民の皆さんが不安を感じるのは当然です。県としても『ますます移設を急がなければならない』、そんな方向になるのも考えられますし、そこを期待して、この時期に発表されたようにすら見えます」

島袋記者「また大臣は今回、2014年までの移設を断念すると伝えると同時に、移設問題の長期化が『普天間基地の固定化につながる』という可能性も示しました。これは重ねて辺野古への移設を急がせるためプレッシャーをかけたとも取れます」

それにしてもこの数カ月、嘉手納統合案が再浮上したり、国頭村の安波区から代替施設誘致の動きが出たりと様々な動きが出ていますが、これはどうとらえたら良いのでしょうか?

島袋記者「きのう、嘉手納町では『嘉手納統合案』に反対する集会が開かれ、500人あまりが参加しました。騒音が激しく、裁判にもなっている状況を考えると、現実的な計画とは言えないと思います」

島袋記者「一方、国頭村の安波区の動きなんですが、先週開かれた区民総会では普天間基地の代わりの施設を誘致する案について、採決の結果、賛成する区民が過半数を占めました。しかしこの案については、村長が反対しているほか、村民や県民の合意が本当に得られるのか未知数で、政府としては長年進めてきた辺野古案を捨ててまでこの案を交渉のテーブルに載せるという段階ではないようです。ただ、誘致を推進する人たちは、区民総会の結果を政府に要請することにしていて、これに対して政府がどう反応するかは気になります」

色々な動きはありますが、政府は結局、自公政権時代の「V字案」に戻ったわけですよね。

島袋記者「県外、国外移設を掲げて政権交代を果たした民主党ですが、それを早々と断念し、滑走路1本か、2本かで迷った挙句、結局、自公政権時代のV字案に戻ったことは、県民から裏切りと言われても仕方ないと思います」

島袋記者「2プラス2は今月21日に開かれる予定ですが、県民の多くが県内移設はノーという意思表示をしているわけですから、知事にはそのスタンスを政府に主張し続けてほしいと思います」