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国頭村安波地区で普天間基地の代替施設誘致の動きが出ている問題で、地元・安波区ではきょう区民総会が開かれています。区民総会の会場に島袋記者が行っています。島袋さん、住民の皆さんの様子はどうですか?

島袋記者「区民総会は先ほど午後6時から始まりました。開始前に住民の皆さんにインタビューを試みたのですが、皆さん、口を重く閉ざしています。先月24日の区民総会にはおよそ100人が参加しましたが、計画に対して賛成、反対の意見が割れたため、採決は見送られていました。きょうまでに安波区では計画を推進する区の役員たちが青年たちや地主を集めて説明会を開き、説得にあたっていました。安波区の現状を取材しました」


上原康作前村長「結論は出ていませんから。賛否両論ありますから」

住民の一部から『普天間基地の代替施設受け入れ』という案が上がり、揺れる安波区。その背景には過疎化が進む地域の深刻な事情がありました。

計画書によると滑走路の予定地は、集落から1キロほど離れたところにあるおよそ258ヘクタールの農地です。この辺りは1978年度から国と県の助成を受けて整備された農業振興地域で、サトウキビやパイナップルなどが生産されてきました。農業の担い手である若者たちが次々と都市部に出ていく中、遊休農地が増えてきたというのです。

こうした中、区の役員たちが考えたのが「自衛隊の誘致」でした。那覇空港で自衛隊機がたびたび、トラブルを起こしては滑走路が閉鎖されることに注目。安波区に自衛隊基地を持ってきたらと考えたのです。

[航空自衛隊駐屯基地をこの際、安波地区に移設することを前提に安波空港を建設し、自衛隊と民間が共用する空港とすることが望ましいと考えます。アメリカ海兵隊が安波空港に同居する形とすることで、最大の懸案事項である普天間基地周辺の危険性の除去が実現できます]

推進派は地主に対し、高速道路が延長されれば土地の価格は2倍以上になり、さらにリゾート化により宅地化されると5倍近くに跳ね上がるという試算を出し、説得にあたりました。その結果、地主説明会では参加した47人中36人が計画に賛成し、11人が反対という結果になりました。一方、住民およそ100人が参加した前の区民総会では、反対の意見も多く出ました。

安波区民「実際話が上がったときに、残念でした。子どもたちはどうなるんですか」「空港とか高速道路ではなくて、他にもあるんじゃないか。そういう話し合いをまずして、その中で空港建設が出てきたら、また話し合ってというのが筋だと思う。安波の良さを生かした振興じゃないと思う」

県知事を始め、県民の多くが普天間基地の県外移設を求める中、安波区がどんな選択をするのか注目されます。


島袋記者「きょうの区民総会では計画の賛否を問う採決が行われる見通しですが、仮に賛成の意見が過半数になったとしても、区は法律上、自治権を有する団体ではありませんから、これだけで地元の意思決定がなされるというわけではありません。また予定地についても農地として整備された経緯があり、農業以外で使うことは禁じられています。空港として整備するには法律に基づいた多くの手続きが必要で、場合によっては国に対して補助金を返還しなければならなくなるということです」

いずれにせよ、過疎や高齢化に悩む地域が高速道路の延長などと引き換えに基地の受け入れを表明するという今回のケースは、振興策という「アメ」と引き換えに基地の受け入れを迫られてきたこれまでの構図が見えてきますね。

島袋記者「過疎地域への振興は本来、基地と引き換えでなくても進められる問題であり、沖縄の基地問題の根深さを表していると言えます。以上、安波区からお伝えしました」