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今月は看護週間にちなんで、県内でも医療関係の様々なイベントが行われました。そんな看護業界に今ある異変が起きています。

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『看護師増員の要求です。よろしくお願いします』

人員を増やしてと訴えるのは白衣姿の看護職員たち。一体何が起きているのでしょうか。看護従事者で組織する労働組合の宮城さんはこう話します。

県医労連・宮城常和執行委員長「看護職員が退職を待たずに離職をすると。それから、結婚・妊娠・出産・育児という状況の下で、退職が後を絶たない」

実は今、医療の現場で看護師不足が深刻化しているのです。県内でも看護師を確保できないために、ベッドの休床をせざるをえない病院などの実態が明らかになってきています。

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背景にあるのは高い離職率。日本看護協会のアンケートによると、県内の常勤看護職員の離職率は12.6%です。

次々と辞める理由は仕事のきつさにあります。22人に1人が過労死危険レベルと言われる月60時間以上の時間外勤務を行っているのです。勤務形態も特徴的です。

「日勤-深夜をやっているので、仮眠する時間がすごい短い。2,3時間で次の勤務にいく。そこがきつい」

医療の現場は24時間365日体制。そのため、多くの医療機関で交代制をとっていますが、日勤の後に残業が重なり、わずか数時間の間隔で夜勤に突入というシフトをこなす看護師も多いのです。

健康被害も深刻です。7割が慢性疲労を訴え、6割が鎮痛剤や睡眠剤など何らかの薬を常用。女性の場合、3人に1人が流産しかかった経験を持つという調査結果もあるのです。

県は1月、労働基準法などに基づいて試算した今後5年間の看護師必要数を発表しました。今年度の必要数はおよそ1万7300人、不足数はおよそ500人。

不足の要因のひとつに、毎年500人以上が就業しつつも1年未満で辞めてしまう新人看護師の多さを挙げています。

県福祉保健部医務課・島袋富美子看護専門監「今、県として取り組んでいる事業として、離職防止・定着促進としましては昨年度から新人看護職の卒後臨床研修事業、それから新人看護師の指導者育成」

新人がすぐ辞めてしまうのは、慣れないうちに過酷な業務につぶされてしまうからだといいます。研修でそのギャップの緩和を図るほか、養成校を新設するなどの取り組みを行っています。

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一方、県医労連は適正な労働時間や十分な勤務間隔、休日を確保するには2万人の看護師数が必要だとしていて、県の見通しとは大きな隔たりが見られます。

看護師不足が解消されなければどうなるか。もし自分が入院した時を想像してみてください。人手不足による忙しさの結果、ミスやニアミスを経験したことがあるという看護師は9割にも。この問題は、私たちが安全な医療を受けられるかということにも関わっているのです。

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豊見城市の小児科病棟で働く儀間智美さん。4人の子どもがいるママさん看護師です。きょうは準夜勤の日。

申し送りで患者の状態を把握します。薬や器具の確認作業など、就業時間前から取りかからないと間に合いません。

「真ん中が痛かった?どこが痛かった?」『真ん中』「こっち?」『はい』今は?」『痛い。少し痛い』「押したら痛い?」『はい』

バイタルチェックなどをしながら病室を回ると、あっという間に夕食の時間。看護師たちの夕食はいつも勤務が明けてから。患者さんがひっくり返してしまったお膳の掃除も仕事のうちです。

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沖縄協同病院・玉城和美看護師長「患者さんのために濃密なケアをとなると、どうしても今の人数では足りない」

看護師暦25年の玉城さん。昔に比べて医療が高度化し、より多くの看護師が必要になったと話します。部下の夜勤を減らそうと、シフトの組み立てはいつも一苦労。

玉城和美看護師長「できれば(月)10回以内に抑えたい。去年は12,3回入る人もいた」

就寝前の巡回。ナースコールが多くなるのもこの時間帯からです。

前日に手術をしたばかりの男の子。

男の子の母親「一人では足りないところを色々看護師さんが助けてくれるので、とても心強かった」

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自身も4人の子どもをもつ儀間さん。一番下の子ははまだ1歳です。

儀間さん「大変ですけど、家族みんなで協力してもらってやってます」

仕事を続けられるのは、家族の協力と職場の理解があるからと話します。何よりやりがいもあります。

儀間さん「やっぱり元気にバイバイって帰っていく姿がとってもうれしいですよね。はい。」

看護師の頑張りで支えられている今の医療現場。しかし、看護の世界では後期高齢者の数が2005年に比べて2倍近くになる2025年問題が懸念されています。個人の努力にも限界が近づいています。

現在、看護の世界では人不足の中、看護師の業務を拡大する特定看護師や患者一人当たりの看護師数を増やす配置基準の引き上げが議論されていて、看護師のさらなる労働環境の悪化につながりかねないと指摘する人もいます。私たちの受ける医療にも関わってくる問題ですから、慎重な検討が必要です。