日本の裁判で裁けないというやり場のない怒りが伝わってきます。2011年1月沖縄市で起きた交通死亡事故で、「公務中」を理由に、アメリカ軍属の男性が不起訴となっていた問題で、25日被害者の遺族が不起訴を不当として検察審査会に申し立てをしました。
2011年1月沖縄市与儀の国道329号で、アメリカ軍属の男性が運転する乗用車が対向車線に進入し、軽乗用車と衝突。軽乗用車を運転していた当時19歳の与儀功貴さんが亡くなりました。
しかし乗用車を運転していたアメリカ軍属の男性は、「公務中」を理由に不起訴処分となっています。これに対し遺族は憤りを隠せません。
母親の神谷真奈美さんは「事故の内容とか話した後に、日米地位協定に基づいて、公務中なので、第一次裁判権は米軍側にある。それで日本側としては仕方がないから不起訴にするしかないっていう」と話してます。
日米地位協定では、アメリカ軍人・軍属が公務中に起こした事故について、第一次裁判権がアメリカ軍にあると定めています。この検察の不起訴処分を不服として、真奈美さんは25日午後、那覇検察審査会に審査を申し立てました。
神谷真奈美さんは「罪を償うことは、人として当然のことだと思ってますので、起訴になり、犯した罪をちゃんと償ってほしいと願ってます。」と話しています。
代理人の池宮城弁護士は「こういう不条理がまかり通るというのがおかしいことで」「本件については、第一次裁判権をもう一度日本側に戻して、日本の裁判所において裁くべきだと」と話しています。
また担当弁護士によると、アメリカ合衆国連邦裁判では、軍属を軍法会議にかけるのは、特別な場合を除いて憲法違反とされているため、このアメリカ軍属の男性も軍法会議で処罰されることはないということです。
また25日開かれた県議会臨時議会では、この問題に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決。「公務中」の範囲を明確にすることや、日米地位協定の抜本的な改定を求めていて、26日にもアメリカ軍へ抗議決議を手渡し、改定を要請することとなっています。